「G7広島サミットを問う市民のつどい」の訴え

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(声明)「G7反対」は私たちの正当な意思表示であり、「テロリズム」ではありません!!

広島サミットの開催を控えて、昨年ころから、警察などによるサミット警備、テロ対策名目の訓練や広報が目にみえて増えています。こうした動きは、交通機関や自治体なども巻き込みながら、サミットに反対する主張や行動をあたかも「テロリズム」であるかのように印象づけ、一切の異論を認めない空気を醸成しかねないものになっています。事実、首脳会合が開催される広島では、マツダが工場と本社の休業、プロ野球も開催見合せ、広島市内宿泊施設には新規宿泊予約受付を停止の要請、会合当日の交通規制、平和記念公園への立ち入り規制やイベント自粛など規制措置が次々に出されており、戒厳令といってもいいような状況になりかねない異様な事態になっています。

1月31日の第六管区海上保安本部による海上警備訓練がメディアでも報道されました。この訓練では、サミット会場付近の海域に抗議船が侵入し、「サミット中止しろ」というプラカードを掲げている模様が映像として映しだされました。(広島テレビニュース1月31日、ほぼ同様のシチュエーションでの訓練について、NHKも2月12日に放送) 結果的に、これらのニュースでは、プラカードで「サミット中止」を要求するような表現もテロリズムであるみなそうとする警察の意図を肯定的に印象づける報道するなっています。

こうした報道の模様から、私たちは、警察など法執行機関は「サミット中止」を主張するプラカードを掲げること自体を事実上「テロリズム」とみなし、取り締まりの対象としていると判断せざるをえません。これは、警察などの権力の濫用であり、明らかな言論表現の自由への敵対的な態度です。

憲法21条では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と断言しています。今一度、この条文の意義を私たちは確認したいと思います。21条は、「公共の福祉」などの留保や前提条件も付していません。つまり、政府に対して異議を申し立てる権利は、何よりも重要な権利だということです。ですから、私たちの一切の言論・表現の自由を政府は保障する義務があります。

G7サミットの中止を求めたり反対する集会、デモ、あるいはプラカードを掲げての抗議の意思表示などは、憲法に保障されている私たちの集会、言論など表現の自由であって、G7の会合を理由に制限することは一切許されません。むしろ私たちのこの基本的な人権を権利として保障できないようなG7の会合を政府が開催すること自体が、憲法に違反する行為であり、中止されなければなりません。

サミットは大臣級会合が全国各地で開催されるために、全国的に警察などによるテロ対策を口実とした訓練や過剰な監視・警戒活動が日常化しています。サミットが終った後も、こうした警察などによる監視活動だけは継続され、私たちの権利としての市民的自由が更に抑制される事態になることも十分予想されます。

他方で、マスメディアは、警察などのテロ対策を理由とした活動が、憲法で保障されている言論・表現など市民的自由の権利を侵害しかねないことに、もっと関心をもつべきです。そして、警察の報道だけでなく、反対や異論を提起する運動に対しても関心をもち取材する努力なしには、報道の公平性は保てません。報道機関はもっと市民的自由の権利への関心をもって欲しいと思います。