会津若松市議会調査報告


会津若松市議会の議会改革は市民の声を政策に

市民意見交換会と議員間討論で政策形成サイクルを作る

今期、福岡市議会では議会各調査特別委員会を設置し、議会改革に取り組んでいます。これまでの成果として、常任委員会の審査は全て公開されることとなり現在実施されています。しかし、私たち「緑と市民ネットワークの会」では市民の声を市政に反映させるために、他都市のように陳情は趣旨が請願と同じものであれば請願と同様に取り扱うこと、住民投票条例の制定、公聴会や参考人招致などを活用すること、議会報告開催など、議会の役割と市民との対話の仕組みを盛り込んだ議会基本条例制定を求めています。福岡市議会での議会改革に資するため、去る7月15日に会津若松市議会の議会改革について調査しました。

 

市民との意見交換を行い議会基本条例を制定

会津若松市議会では、2007年改選後政策としての議改革案の提案と議会制度検討委員会設置が議長から提案され代表者会議で設置が決定されました。前期議会で議員政治倫理条例制定検討委員会での検討過程で議員のみでの検討での難しさを学び、学識経験者、市民を加えた委員会とするために任意の議会制度検討委員会としました。構成は2名以上の会派から1名、無所属議員は委員外委員として参加、公募市民1名、福島大学教授1名としました。議会制度検討委員会では、北海道大学教授を招き理論的研究、伊賀市議員、栗山町議員を招き事例研究、政治倫理条例案および議会基本条例制定案等がまとまった時点でパブリックコメント、市民意見交換会を全市域20地区で開催しています。議会制度検討委員会はこれらの取り組みから市民意見を整理し素案を修正して、全員協議会で報告、代表者会議で協議・確認の後、議員提案として議案に上程のうえ可決しました。条例制定は議員全員での協議となり、また検討・制定経過において市民の声や学識経験者の意見を踏まえたものとなっています。「主権者市民の負託に応えて優れたまちをつくるため」の議会運営という理念が制定過程にも生かされています。

 

市民の負託に応える制度としての政策形成サイクル

会津若松市議会は市民の声を政策にするために、出発津点として市民意見交換会を全市で開催しています。具体的には20地区を15地区に再編し、全議員30名を5班に分けて、3日間で市民意見交換会を実施しています。市民の多様な意見を聴取・整理するために議会に広報広聴委員会を設置し、市民意見を大項目、中項目、小項目に整理します。整理された課題は、代表者会議で確認し、4つの政策検討論会に振り分けます。政策討論会は常 任員会と同じ構成ですが、整理された課題を研究・研修課題として各議員ないし政策討論会で調査を行い、議会事務局が参加せず議員間での討議がなされます。政策討論会で研究・研修されたものは、常任員会員会での審査に生かされます。議員は政策討論会および常任委員会での議論を踏まえ、本会議および予算・決算特別委員会の質問に反映させます。常任委員会、本会議、予算・決算特別委員会では、市長部局に対する質問だけでなく、議員が議員間討論を提起すれば議員間討議が行われ、その後、討論、採決となります。質問については代表者会議で調整し、質問の趣旨を明確にし、重なる質問はしないようにしています。なお、市長部局は質問の趣旨を確認するための反問権があり、論点を明確にすることも重要です。

議会主催の市民意見交換会は2月議会前と9月議会前に開催され、これまでの取り組みの報告と行い、議会の取り組みの評価と課題を市民から受けることにしています。そこで改めて広報広聴委員会で課題整理が行われ、市民の声が政策として実現できる方向を探ります。同時に、市民に市の財政政状況等を説明し、市民からの提案を受けるなど市民との協働の方向を話し合う場にもなっています。この様に、市民意見交換会を出発点に、課題を整理し、議員間で政策討議を行い、常任委員会や本会議、決算・予算特別委員会の場で質問することで、市民の声を政策として実現できるサイクルを作っています。市民意見交換会は2月議会前、9月議会前だけでなく、必要があれば分野別の政策検討委員会主催や広報広聴委員会主催で開催されています。請願と陳状も市民の声として同等に扱われています。

会津若松市議会市民意見交換会整理160726 001

会津若松市議会政策形成サイクル160726 001

会津若松市議会と福岡市議会の大きな違いは

①市民参加による議会と市民との意見交換が行われている

②意見交換会から課題を整理し、議員の研究・研修がなされている

③議員間の討論をたたかわせ、議会全体の合意形成が図られている

④議員の研究・研修の成果を議会での質疑に反映させることで政策として実現させている

⑤市民本位の立場がより鮮明に謳われている

福岡市議会においても大いに参考にすべかきと考えます。

 

福岡市議会をより市民に近い議会にするために総合区の検討を!

会津若松市議会基本条例の前文は、「市民参加を礎とし」、「市民との活発な意見交換をし」、「議員同士が闊達な議論をたたかわせ」、「市民本位の立場をもって「、「政策提言や政策立案をする」とし、「市民の多様な意見を反映できる合議体としての議会づくりを通じて、市民の負託に応えていく」と決意を述べています。これを実現するために市民意見交換会を起点とする政策形成サイクルが作られています。この様なシステムは人口12万人の会津若松市だから出来る、155万人の福岡市では難しいのではと思われるかもしれません。しかし、区単位での取り組みであれば決して福岡市でも出来ないシステムとは思えません。地方自治法では、区が市の権限の一部を担う「総合区」の制度にすることが出来ます。区独自の予算を持ち、区固有の事業をする仕組みをつくることが出来ます。要は議会が市民との対話をする意思を持つか否かであり、様々な工夫をすることが問われています。