地方自治と地方分権に逆行する「地方自治法改正に反対する声明

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2024年2月15日

ふくおか緑の党運営委員会

 2023年12月21日に第33次地方制度調査会が「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」を政府に提出しました。これを受け、国会に地方自治法改正案が提出される動きがあります。この地方自治法改正は大規模災害や感染症のまん延といった非常時に、国民の生命などの保護のため、国が自治体に必要な事務処理を指示できるとされています。しかし、災害時や感染症拡大などの非常時には既にインフルエンザ特措法など個別法で国の指示ができるようになっており、また必要であれば個別法の改正によって対応すべきと考えます。一般法である地方自治法改正による国の関与を拡大することは、地方自治を侵害するもので許されません。全国知事会からも「国と地方の対等な関係が損なわれる恐れもあることから、制度化および運用に当たっては十分な配慮が必要である」という提言が出されています。

 憲法では地方公共団体(地方自治体)は国から独立した法人として規定され、地方自治の本旨に基づいて運営されるとされています。国は2000年に施行された地方分権一括法によって、機関委任事務が廃止され、国と地方自治体は「対等協力」の関係とされました。国が地方自治体に関与する場合は法律で明記するとされ、地方自治体が自主的・自律的に行う自治事務について指示できるのは「国民の生命、身体又は財産の保護のため緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合に限って、個別法で根拠規定を設けることとされているのである。」と日本弁護士会は指摘しています。

 今回の地方自治法改正が地方制度調査会答申を受けて改正するということであり、答申では「緊急に」との用語を使用しておらず、指示権を認める要件を緩和するものと考えられます。指示が必要な状況の判断を政府が行い、かつてのような国が地方を統制下に置く仕組みに戻ることに繋がります。地方自治法を改正する必要性は認められず、地方制度調査会答申に基づく地方自治法の改正に反対します。