戦争法違憲訴訟(国家賠償請求訴訟)で意見陳述

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福岡県の住民と弁護士で昨年11月16日に福岡地方裁判所に安保関連法案=戦争法違憲訴訟を提訴しました。訴訟は平和的生存権、人格権、幸福追求権、憲法改正決定権を侵害されたことによる国家賠償請求と、自衛隊出動等差し止め訴訟を提訴しました。国家賠償請求訴訟はは第1回公判は3月14日、第二回公判が6月6日にありました。差し止め和尚は第1回公判は4月12日に行われ、第2回公判は7月12日です。いずれも午後14:00~の裁判となっています。私は6が6日の公判で、原告として意見陳述を行いました。全国の動きは下記の図の通りです。違憲訴訟の原告を募集していますので、希望者は下記まで連絡下さい。なお、違憲訴訟原告の参加費はパンフレットでは1万円となっていますが、現在は3千円に変わっています。

 

違憲訴訟の広がり170301

違憲訴訟原告募集チラシ(うら) 001

意 見 陳 述

2017年6月6日

原 告    大 塚 (荒木) 龍 昇

 

私は1952(昭和27年)年3月21日に現北九州市八幡東区で生まれました。18歳の時に九州大学に入学し、そのとき以来福岡市に住んでいます。大学時代は森永ヒ素ミルク中毒事件被害者の支援活動をし、大学卒業後はふくおか西部生活協同組合(現グリーンコープ生協)に就職しました。生活協同組合での私の主な仕事は、組合員を中心とした食品添加物問題、農産物の農薬問題、環境問題、平和問題など安心して暮らせる社会の実現に向けた活動を支援することでした。これが契機となり、1995年に福岡市議会議員となりました。市議会議員には旧姓の荒木で立候補し、今日まで落選したことがありますが、4期市議会議員を務めています。

 

市議会議員になって、市民生活の安心と安全を確保するための市政実現に取り組んできましたが、2002年に有事法制が国会を通過したときから戦争について改めて強い危機感を持つようになりました。有事いわゆる戦争時には国民総動員体制が強要されることになり、各自治体に国民保護計画策定が義務づけられました。それは福岡の地政学的位置を考えれば、福岡市民に大きなリスクを負うことになると受けとめました。福岡市には福岡空港があり、米軍および自衛隊が民間と共用しています。また、三郡山および背振山にはレーダー基地があります。また博多港はかっては第2次大戦後中国大陸および朝鮮半島からの引き上げ港でした。また、博多港湾内の航路は水深15メートルあり、戦争状態になれば空母も寄港できる軍港機能を持つことが出来る港です。市内には九大病院、福大病院をはじめとする大規模な総合病院が複数あり、また鉄道および高速道路の結節点にもなっています。福岡市は戦争状態になれば基地機能と兵站部機能を有する都市です。朝鮮戦争の時には福岡空港は出撃基地と兵站基地になっています。戦争時には敵対する国家ないしは勢力の攻撃目標になることが容易に想像されます。この様な地政学的リスクが大きくなったことについて、福岡市国民保護計画策定時において議会でも大きな問題となった記憶があります。

 

2015年4月25日に改訂された新「日米防衛協力のための指針」いわゆる新ガイドラインは、日米同盟軍の作戦領域は全世界となっており、集団的自衛権が前提となっています。新ガイドラインの下、様々な米軍と自衛隊の訓練など、米軍と自衛隊との軍事的一体性が強まっています。このことは、福岡市が持つ軍事的機能は一層高くなり、市民にとってリスクがより大きくなることを意味します。

 

安保関連法強行採決までの動き、そして安保関連法施行後の国の動向を見ると、私は日本国民が戦争に引きずり込まれる危機をさらに強く感じています。この様な状況を改めて思うに、ある記録映画で見た昭和10年代、日本が中国大陸を侵略していた時代、太平洋戦争開始される直前の雰囲気を感じています。この様な異様な時代感は私だけではないと考えます。また、小学生時代、八幡製鉄所がある八幡東区は大空襲を受け焼け野が原になったことを平和授業で聞かされたこと、空襲後の焼け野が原の写真が小学校校舎に展示されていたことを思い出します。

 

戦争状態になれば軍事基地機能と兵站部機能を有する福岡市は、敵対する国の攻撃目標になることは明らかです。安保関連法が出来施行されたことで日本が戦争する国となり、福岡市が敵対する国の戦略上の標的にされることは容易に想像でき、危惧する毎日です。安保関連法が出来たことで、私を含め多くの福岡市民がこれまで享受してきた平穏な暮らしが奪われることになりました。また、安保関連法が出来たことで、自衛隊が海外で戦闘行為が出来ることになり、自衛隊が新たな紛争に巻き込まれ、その結果、国内外において私たち国民がテロの対象になることが現実のものになると思っています。安保関連法が出来たことで私たちはより一層危険な状態になったと言えます。

 

更に安保関連法が出来たことで心配が強まったことがもう一つあります。福岡市から約50キロメートル西には玄海原発があります。戦争状態になれば玄海原発は敵対する国の標的になり、原発が破壊されるのではないかということです。玄海原発が破壊されれば、福島原発事故同様福岡市はたちまち放射性物質に汚染され、住めない街となります。飯舘村と福岡市は似たような距離と地理的条件にあり、原発破壊による影響を避けることは出来ません。このことも多くの市民は大きな精神的苦痛をうけています。

 

そもそも、閣議決定によって集団的自衛権行使が合憲であるとしたことは、時の政府の都合で憲法を解釈改憲することであり、立憲主義を否定するもので許されません。歴史を見ても武力によって平和を築くことは出来ません。安保関連法により集団的自衛権行使が出来るようにすることは、他国の紛争に荷担する危機を高めるとともに、国民の生命財産を危険にさらすものです。閣議決定で集団的自衛権行使ができるようにしたことは、国民主権を否定するもので、私は精神的に大きな苦痛を受けています。憲法違反の安保関連法を廃止することで、再び戦争しない国として世界に認知され、平穏な暮らしを取り戻すことを切実に望んでいます。