9月議会報告

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議案
 9月議会の議案は一般会計51億9千万円余、特別会計168億6千万円余の補正予算は国の景気対策としての内示増による増額補正が主たるものでした。具体的には西鉄へのノンステップバス購入補助、雇用対策、公園用地購入や道路整備事業、地下鉄七隈線延伸工事費増、人工島の新青果市場建築費増が主たる内容です。

■生活困窮者自立支援モデル事業
 今回の雇用対策のなかで生活困窮者自立支援モデル事業が行われます。この事業は失業などで生活困窮に陥った場合に、ひとり一人の状況に合わせて生活を立て直すために就労支援や住宅費助成制度、生活貸付金制度などの支援事業をコーディネートして支援するというものです。生活困窮に陥った人をサポートする制度は必要ですが、問題は生活保護制度の水際作戦として就労を強要することの可能性にあります。このモデル事業が真に生活困窮者支援になるよう利用者や事業受託事業者からキチンと課題をくみ取り、福岡市としても生活困窮者支援に生かせるように取り組むことを私は求めています。
 
■空請求の青果市場建設費の増額補正
 今議会では人工島に建設される新青果市場建設費73億円が増額が行われました。しかし今年度事業は既に決まっており、増額に伴う工事はなされません。増額された工事費は次年度に繰り越され、結果的には工事は当初の計画通り進められます。つまり空主張のようなものです。なぜこの様なことをするのかその理由は国の補助金を確保するためとしています。つまり、地方は国からの補助金の額を確実に受け取る約束が出来、国は実際には執行されない補助金を前倒しで執行した形になり次年度は新たな補助金枠を確保することになります。国の長期債務は1000兆円を超え、地方の借金200兆円を加えると国民の借金は赤ちゃんからお年寄りまで一人当たり1000万円の借金を負っていることになります。この様な中で、景気対策として実際には工事が行われないものまで補助金をバラマキ、財政悪化させるような財政運営は問題があります。補助金行政の歪みが財政規律を歪めており、この様の予算執行に私は反対しました。

一般質問
 一般質問の中で主に問題になったことは、①中央保育園の移転問題、②小中学校学校にエアコンを設置すること、③福島原発被災者支援であったと私は見ています。

①今回の一般質問で複数の議員から中央保育園の移転について質問がなされています。2011年7月1日に元港湾局長が不動産会社福住に天下り、2011年7月26日の市政運営会議で中央保育園の移転が決定され、その数日後に福住は元の持ち主企業から7億6600万円で予定地を購入。2012年4月19日、福岡市は福住から予定地を8億9900万円で購入。この土地の近隣にはラブホテルやパチンコ屋があり、しかも保育園前は一方通行の狭い道路しかなく、災害時の避難にも問題があることが指摘されています。現地立替も可能で、福住は移転計画を事前に知り、短期の土地転がしで1億3千万円の利益を得た疑惑が指摘されています。

②今年は大変暑い日が続き、福岡市は7月、8月の卑近気温は日本一となっています。これまでも小中学校の教室が30度を超えていることが問題となっており、教育委員会では実験的に扇風機を設置する、屋根を遮熱塗装にするのどの対策を取ってきましたが、限界を超えているのではないかという指摘が相次ぎました。横浜市や京都市などでは小中学校にエアコンを設置しており、福岡市も早期に設置すべきです。

③子ども被災者支援法について私が質問しました。福島原発事故子ども被災者支援法が出来て1年半経過しましたが、今で支援が進んでいません。2011年11月15日から26日にかけて国連人権理事会アナン・クローバー氏が日本に訪れ、福島原発事故に関して「達成可能な最高水準の心身の健康を享受する権利」に関する特別報告しました。この報告では日本政府に低レベル放射線でも健康被害の恐れがあり、年間1mシーベルトを超える被災地では避難するか帰還するかは被災者が選択できるよう、国は財政的支援をすべきという趣旨の報告をしています。
 「被災者生活当等支援の推進に関する基本方針」(案)が出されパブリックコメントがなされています。この基本方針は「子ども被災者支援法」の趣旨が生かされず、法の支援対象者は福島県内33市町村に限定し、その他汚染地区は準支援対象地区としていますが確定していません。低線量被曝による健康被害を軽視しクローバー報告に応えるものではありません。現状では自主避難者には補償もない情況で、多くの方は家族が分れて暮らす、また母子避難されており、母子ともに精神的に大きな負担をおい、経済的苦境に陥っています。 これまで福岡市は自主避難者については国が子ども被災者支援法の対象地域を明示していないことを理由に、積極的な支援策をとってきていません。しかし、文科省のデータを見ても関東一円にホットスポットが広がっており、多くの方が自主避難しています。自主避難者に対して他都市では現状の制度を活用して暖かく受け入れています。新たな制度を作らなくても住みやすい街として福岡市を選んできた自主避難者を温かく迎えることは出来ます。
 岡山市や久留米市などでは今ある制度を活用し、自主避難者の支援を行っています。福岡市においても今ある制度を活用して自主避難者の支援をすることを求めました。市の回答は従来通り、一般の市民と同じ扱いをするというものです。先日、婚外子の差別について最高裁では民法の規定が違憲であるという判決を出しています。地方自治の本旨は住民福祉の実現であり、国の制度が定まらないから何もしないのではなく、いまある制度を援用して自主避難者を支援することが出来るし、すべきと考えます。だれにもやさしい、だれでもやさしいユニバーサル都市福岡をテーマとして都市政策を進めるとしていますが、実態は国がしなければ何もしないというのが実態です。この様な福岡市政を変えるために、今後も粘り強く取り組みます。