2017年度決算委員会(高島市政8年)

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都市の成長は市民を豊かにしたのか!数字は語る

高島市政8年を振り、「都市は成長」したのか、「都市の成長」とはなにか、そして「市民の暮らしは豊かになったのか、具体的な数字で検証が必要です。「都市の成長」として人口が増えていること、市税収が増加していること挙げています。市税収が増加したその中身を検証する必要があります。市税収が増えていますが、主たる増収の要因は人口増による市民税の増加と、補助金漬けの人工島での企業立地および宅地開発やマンション建設、地下鉄沿線の開発によるマンション等建築物の増加等による固定資産税の増加です。この点では「都市の成長」はあったといえるかもしれません。しかし、国の資料(経済センサス)では福岡市の企業数は減っており、高島市長の企業誘致が進んでいないことが分かります。他方、従業員数は増えていますが、非正規雇用が増えています。また、行政能力を考えずに進めてきた乱開発により、マンション・住宅の急激な増加による児童数の急増は教室不足や運動場の狭隘化など教育環境を悪化させるなど、問題となっています。

右表の市民経済統計を見ると市民所得は伸びています。しかし、中身を見ると、企業所得が増えていますが、雇用者報酬は増えていません。また、人口が増えているのに財産所得が変わらないのは、所得格差が広がっていることを示しています。このことから、大企業優遇の減税や株式や債券などの金融資産に対する優遇税制は市民の所得を増していないことが分かります。大企業の収益は上がり内部留保は445兆円に増え続ける一方、労働者への賃金には回らず労働分配率は下がり続けており2017年は66.2%と43年ぶりに大きく下がっています。大企業を優遇しても賃金には反映されず、経済の活性化に繋がっていないことがうかがえます。また、賃金格差が広がり、金融資産保有者との所得格差も広がっています。

高島市長はいち早く国家戦略特区に手を挙げ、安倍政権が進める「雇用の流動化」の実験場して「解雇指南する労働相談所」を設置するなど、安倍政権の政策に忠実に市営運営をしてきました。安倍政権6年かの実質賃金はマイナスであり、将来への不安から消費支出はマイナス。福岡市においても非正規効用の増加と賃金の低下が見えています。世界的な景気動向に左右されやすいグローバル化した企業を誘致しても、またグローバル化を目指すスタートアップ事業に重心を置いても、企業の都合で移転し、地域経済の基盤をよくすることにはなりません。

 

いま、求められているのは高齢者の支援と若者支援!

厚生労働省が2016年に行った国民生活基礎長のまとめが今年8月に「グラフで見る世帯の状況」として発行されました。この報告によると、2016年度は単身世帯が26,9%、夫婦だけの世帯が23.7%、未婚のこどもとの同居の世帯は37.4%となっています。65才以上の世帯員がいる世帯では、単身世帯が27.2%、夫婦のみの世帯が31.7%、未婚のこどもが同居する世帯は20.7%となっています。他方、国立社会保障・人口問題研究所は今年1月に2040年には全世帯の39.3%が単身世帯になるという推計を発表した。その大きな要因は未婚化にあるとしています。単身世帯が増える傾向は今後も続くと考えられ、ます。家族での支え合いの構造が崩れ始めており、地域での支え合う構造の構築を急く必要があることを示しています。

福岡市は人口が増加しているとして、あたかも都市が成長しているかのような主張がなされています。しかしその内実を見ると、福岡市も同じような状況に進むと考えられます。更に都市間競争に勝つために「都市の成長」に相変わらず重点を置いていますが、このままでは地域の支え合う構造は崩れると思われます。若者支援、高齢者支援に政策を転換すべきです。人口減少の問題には未婚者が増える状況、間既婚者でも希望するこどもの数を産めないことが挙げられています。人口減少は需要減少で経済が衰退していくとともに、地域社会を支える世代の減少の問題でもあります。結婚したくても出来ない、またこどもを産みたくても産めない理由に、収入の問題、住宅の問題、教育費の問題、などが挙げられています。若者支援、子育て支援をすることで、地域を支える力を育てる必要があります。単身高齢者が増えており、支援体制の構築が急がれますが、その為にも若者支援が必要です。

製造業従事者は減少し、対人サービスである福祉や医療関係の従事者が増えています。今後ともその傾向は更に加速されると考えられます。いま必要なことは地域に安定した雇用をつくることです。その為には福祉や介護、保育や教育の現場で雇用を増やし、正規雇用を増やすことに取り組むべきです。それは安定した雇用を産み、経済を活性化するとともに市民生活の質の向上に繋がります。また、若者が抱えている奨学金問題の解消も重要です。「都市の成長」への投資よりも人への投資が急がれます。

若者支援・子育て支援・高齢者支援

○介護、福祉、教育の従事者の供与等処遇改善を図り、非正規雇用を減らす

○介護、福祉、胸囲等の雇用を増やし安定した収入を確保できるようにする

○独身の若者も含めて、高齢者、障がい者、子育て世代に安価で良質な住居を提供する

○こどもの医療費補助を高校生まで延長する

○奨学金は給付型にするとともに、今抱えている奨学金の負担軽減を図る。

 

(つづく)