九大移転対策協議会

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九州大学移転協議会
日時 8月11日(月)午前10時~12時15分
場所 第1特別委員会室
出席
都市計画局九大移転対策部
九州大学

1、九州大学統合移転事業とまちづくり(経過報告)
1)九州大学統合移転事業の概要
平成17年後期から工学部が移転、平成26年移転完了予定。
2)新キャンパス建物整備計画等
3)九州大学学術研究都市構想
4)移転先のまちづくり
5)移転跡地(六本松・箱崎地区)のまちづくり

以上について移転対策部および九大から説明がなされ質疑が行われた。
まず私(荒木)から、当初から指摘されていた九大内の水は確保できるのか、農業用水水の確保ができるのか、地下水の塩水化の問題は解決できるのか質問した。九大移転用地は丘陵地帯で桑原・元岡地区の水源地となっている。幸神という湧き水が水源となっていること、また移転地区一帯から表流水や地下水が供給されており、九大の水問題ワーキングチームの調査でも、移転地の造成により地下水への供給が減ることで地下水位があがり地下水が塩水化することが指摘されている。元岡地区は花卉園芸が盛んで地下水を使用しており、農業生産への影響が心配されていた。
私の質問に福岡市は、従来の農地が九大の農場になることで既存のため池の給水対象農地が減少しているために問題はない、また九大の農場には1号洪水調整池6.3万t、5号洪水調整池5.6万tの容量を確保して給水することにしている。また第4工区(水崎にある農園予定地)では、以前果樹園で使っていた地下水と同じ量を使うことを近隣の農家の了承を得ており、地下水を日量40t利用できることになっていると答えた。また塩水化問題について、以前から一部では塩水化が起こっているが、九大では緑地を残す、雨水の浸透性を図るなどの対策をしており、現時では問題ないとしている。しかし、現在の造成規模は計画の半分以下であり、現状でも塩水化が起こっており、今後危惧される。
また後で説明を受けたが、九大内の施設で利用される水については年間70万t、内生活用水37万トン、実験用水33t、水源は水道水が27万t、処理水は43万tとしている。箱崎地区では年間47万トンの内33万トン地下水を使っている。六本松地区を勘案しても、移転することで水道水の量が増えることになり別の意味でも水問題が生じる。
次に文化財の活用について質問をした。移転地では、木簡や精巧な金の指輪、膨大な製鉄のあとであとが発掘されている。鉄の歴史を変えるのではないかと言われるほど重要な遺跡が発掘されている。近隣には伊都国や早良王国があったとされ、北部九州が南朝鮮との同じ文化圏ではなかったといわれいる。移転地は遺跡の宝庫であり、私は東アジアとの交流拠点として活用すべきと考えて、遺跡の活用について質問した。九大では遺跡の発掘は福岡市教育委員会にゆだねており、遺跡は砂でかぶせて上に土かけて壊さないよう埋め戻している。発掘が終わりしだい評価をして検討とすると答えた。工事をしながら調査をするのではなく、評価を行った上で工事をすべきと言った。

続いて笠議員がアクセスについて質問した。まず、17年までに道路整備は間に合うのか、また道路が完成するまではこれまでの道路を工事車両、バス、住民が利用することになり、いまでも1日1万台つこうしており、渋滞や自己など道路問題が心配である。また住民が売りたくても予算がないため用地買収が進まず工事が遅れているのはおかしい。人工島にお金を使うだけでなく、九大へのアクセスの整備にもっと使うべき。また公共交通機関の料金も高い。前原から来るときは昭和バスやJRは安いのに、天神からは地下鉄からJRに乗り継ぎ、さらにバス賃を払わなければいけない。公共交通についての整備を進めるべき。都市高速についても周船寺で降りるためには150円さらに払わなくうえハーフになっているのは不便。これらの質問に、市は17年まで九大と田尻までは2車線にするが4車線にするのは平成20年になること、田尻から新駅まではいつになるかめいかくにできなかった。このやりとりを聞く限り、人工島に予算を集中しているために、九大へのアクセス整備が進まない実態が明らかとなった。

中山議員は交通安全へに配慮を求めた。

最後に原田議員が、土地開発公社が造成した用地の買い戻しが進んでいないことについて九大の考えをただした。平成10年から順次買い戻しが始まっているが、平成15年3月現在、取得面積約100ha、全体面積比36.4%、取得金額約227億円となっている。平成15年度は文部科学省に50億円の予算請求をしたが、24億円しかつかず、約7.3haを買い戻すことになっている。平成11年3月に交わされた、九大、福岡市、土地開発公社の協定では造成後1年を目途に予算の範囲内で買い取ることになっているが、国の予算が付かないために買い戻しが遅れていることが明らかになった。また、建造物についても分割発注をしており、今年は鉄骨組の予算しか付かないなど、九大移転には金は出すと文部科学省は言ったものの厳しい実態が見えた。工学系研究教育棟ⅠはPFI方式で建設を決めたが、予算が付かないための苦肉の策であることが伺える。独立行政法人になっても施設建設費は補助金として予算化されると考えると九大側は答えているが、その保証はないと感じた。
私はいまでも九大移転は反対である。水問題や地下水の塩水化の問題は香れからであり、決して解決したわけではない。今津干潟を始め周辺の環境への影響はこれからである。遺跡の宝庫であるにもかかわらず、生かそうとしない九大の姿勢は批判されなければならない。
また、今のままではアクセスの整備も進まず、大学の建設も遅れる気配を感じた。国も福岡市もお金がない状況が明らかとなった。まして人工島に重点的に予算を投入することで他の事業に様々な影響が出ていることが改めて浮き彫りになった。移転の問題はこれからが現実のものとなる。いまからでも引き返せる。

2、平成15年度の年間スケジュールを確認
9月24日(水) 九州大学心キャンパスの現地視察
10月23日、24日 大学移転先進事例の視察調査(広島大学視察)