決算特別委員会22日(金)

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決算特別委員会22日(金)
総会質疑

この日の総会質疑は私は無所属ということで発言できなかった。総会質疑で中心的な質疑は財政問題であった。4会派が財政問題について質問、関連して2会派が人工島問題について質問した。
財政問題の質問について、山崎財政局長は当日の朝刊に地方交付税を4兆円削減することが財務省から出されているという報道にふれ、目の前が真っ暗になったと発言した。福岡市の財政は、財政力指数(支出に対する収入の割合)は75%、経常収支比率(収入に対して固定的に支出され費用)は89%と財政状況は中の下、何とか可がつけられる状況と答弁。これに対し、経常収支比率の分母となる基準財政収入には臨時財政対策債、財政補填債という借金が含まれているが、それを除いた数字についての質問に、98.9%と極めて財政に弾力性がない、言い換えると借金なしでは自由に使える財源がほとんどない状況である。起債制限比率も17.6%、これも臨時対策債と財政補填債を除いた数字では18.7%と危険ラインの20%に近づいている。20%を超えると福岡市単独事業の起債が認められなくなり、福岡市独自の事業が出来にくくなる。北九州市の起債制限比率は8%台、これについては北九州市は5市合併で公共施設が既に一定充実していたことと設備投資が早い時期になされたことをているが、福岡市は桑原市政になり、バブルとともに大型開発によって起債が増えていることの反省はない。山財政局長は起債制限比率についての評価の問いに、可をつけるのには手が震えると答えている。
さらに、2008年には市債の借り換え時期が国の借り換え時期に重なり、大量の債券が市場に出ることで、①金利が上昇するおそれがある、②債権が消化できないおそれがあると指摘された。現在起債は公的機関44.9%、民間55.1%、うち公募債は全体の44%となっており、民間にシフトしてきている。市場では自治体が選別される動きが出ており、情報公開をする、財務体質を強化するなどの信用力を高めることで、金利の上昇を抑える、起債の消化が出来るようにすると答えている。
また、財務体質の強化として、外郭団体の資金、福岡市の資金を一元的に管理して融通することで金利を下げる、また市の資金については証券化して運用することで利益を上げているという。因みに、証券化による利益は、04年度は4億5千万、05年度は8億円、06年度は9億円、07年度は11億8千億円、10年間では136億円強を見込んでいるとしている。
福岡市は財政健全化プランで、中期財政見通しを立て、3年間で約200億円の財源不足があるとし、負担の適正化や公平性の確保という理由で30億円の増税、150億円の歳出削減を計画している。この財政健全化プランには、人工島直轄化の費用、新病院移転の費用、地下鉄接続の費用等は見込まれていない。財政局長は、債質枠内で実施するとしており、もしそうであれば、人工島のしわ寄せが市民サービス低下や増税というかたちで市民に押しつけられることになる。与党議員からも、厳しい財政状況の中では、人工島に新病院を移転するということは見直すべきであり、人工島埋立は一時凍結し、土地処分を進めるべきという質問も出た。また、港湾整備の遅れが北九州に追い越されてしまうのではないかと、まず港湾整備に力を入れるべきであるという意見も出ている。人工島の鉄軌道導入についても、費用が掛かる上見通しも立たない現状で、まずは都市高速を人工島に乗り入れることを優先すべきという指摘も相次いだ。
また、03年度末で国債発行残高は556兆円、短期証券等併せると国の借金は703兆円、国民一人あたり550万円となっている。GDPの163.4%で先進国では最悪の状況である。国の一般会計81兆円のうち税収は41兆7千億円余しかなく、毎年36兆円を起債しなければならないとすると、今後90兆円から順次増えて140兆円にも上る国債の借り換えが起こることをかんがえると、市の債券が売れる環境はあるのかという質問に、国内消化が主であり、国は変動金利債など個人投資家向けに対策を進めているのっで問題はないと答えている。国のデフォルトについても、外貨準備が多く、世界最大の債権国であるので問題はないと答えているが、国民が犠牲になる可能性が高い。
この日の質疑を見ても、福岡市の財政状況は厳しい上、国も破綻状況にあり、交付税・補助金の削減など一段と厳しいことが明らかとなった。人工島事業の見直しの意見が与党議員からも出され、政策転換の時期であることは明白である。今回の質疑を見る限り、直轄化すべきでなく、人工島事業そのもの凍結、見直しは最低提言の結論といえる。議会の今後の動きが注視されなければならない。