議会最終日

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 3月議会最終日、共産党の2007年度一般会計予算案の組み替え議案が出され、ふくおかネットワークと私の賛成少数で否決されました。また、今回市長選の争点であり、吉田市長の公約である「留守家庭子ども会無料化」の条例案について、自民党とみらい福岡の反対で条例が否決され、市長の公約は実現出来ませんでした。今の福岡市議会の構成は定員63名のうち、自民党22議席、みらい福岡10議席、公明党12議席、この3会はで44議席、3分の2をこれる状況にあります。この議会構成を変えない限り福岡市は変わりません。市民の声で市長を変えることができましたが、次は議会を変えましょう。

反対討論
 私は上程された諸議案の内、議案第28号2007年度福岡市一般会計予算案及び、議案第31号、35号、40号、41号、43号、45号、46号、48号、49号、61号、90号、104号、106号に反対して討論を行います。

 昨年の市長選挙は山崎前市長がオリンピック招致を強引に進めようとし、オリンピック招致を口実に須崎埠頭の再開発をしようとしたことに対し、多くの市民が「これ以上無駄な開発はしてほしくない、これ以上無断か税金は使ってほしくない、市民のためにもっと税金を使ってほしい。」と反対して市長を交代させました。吉田市長は12月議会冒頭に「心耳をすまして市民の声を聞いて市政を行う」旨の挨拶し、質疑でも「無駄な開発はしない、市民のための公共事業を行う、子育て日本一の福岡市にする」と答えています。今回の新年度予算が市長公約を守るものか、市民は見ています。

 市長選挙では財政健全化をどのように進めるのかが争点でした。夕張市の破綻に見られるように、今全国自治体では財政健全化が大きな問題となっています。国は地方財政健全化のために新たに①実質赤字比率、②連結赤字比率、③実質公債費比率、④将来負担比率4指標をつくり、全ての自治体に報告を義務付け、いずれかの指標を越えた場合には早期是正措置をとり、自治体に健全化計画を立てさせることを2008年から実施するとしています。福岡市でも財政状況は厳しい状況が続いており、実質公債費比率は2007年度見込み23.9%、その後も増え続け25%に迫る状況です。どのように財政健全化を進めるのかが問われています。

 この間の様々な控除の廃止、定率減税の廃止など国の税制改悪で収入が増えていないのに税負担が重くなっています。また食事代や住居費の新たな負担で医療費や介護保険の負担が重くなっている、昨年の障がい者自立支援法施行で障碍者は原則1割の負担をしなければならなくなっており、負担軽減措置が執られていますが、生活は一段と厳しくなっています。また障がい者を支えてきた共同作業者などの存続が厳しくなっています。国の悪政による国民の負担が重たくなる中で、地方自治体が住民の暮らしを守る責任は一段と重くなっています。このようなかで、山崎前市長が2004年につくった「財政健全化プラン」は人工島など大型開発には従来通り重点的に投資を行い、受益者負担を掲げて市民に負担を求めることで財政再建を進めようとしました。これは従来の開発政策を維持し、市民サービスを切り下げるものでした。国民健康保険の値上げ、介護保険の値上げ、下水道料金の値上げ、ゴミ処理の有料化・実質増税、その一方で敬老パスの削減、67歳から69歳までの高齢者医療費補助の打ち切り、などを実施してきました。市長選挙はこの山崎前市長の財政健全化プランに対する市民の審判でした。多くの市民が受益者負担の見直しと市民生活のセーフティネットを求めています。

 先日の条例予算特別委員会でも、留守家庭子ども会の無料化を巡り受益者負担が問題となりました。市長は受益者負担の考えを堅持すると言っていますが、受益者とは誰なのかが議論されなければなりません。子どもは社会の宝であり、子育ては社会の責任です。同時に、地方自治体の本旨は住民の暮らしをまもり福祉を実現する責任です。行政の財政運営は富の再生産するものではなく、税収の範囲内で住民の福祉を実現することにあります。これまでの都市基盤を整備することで産業を誘致し人口を集中させることで税収を生み出し、都市の成長を維持する考えが、経済構造の変化の中で破綻し巨大な借金をつくり出しました。都市膨張と共に増える行政需要は財政負担を大きくします。同時に市場原理が働く企業の論理の前に、都市政策は一致しません。経済のグローバル化は市場原理を先鋭化し、都市はより不安定なものになります。「都市間のサバイバルな競争」の強迫観念に追いつめられ、都市の将来を見失ってはいけません。50年、100年先にいぶし銀のように重みと輝きを持つ都市にするためには、経済成長優先の市政から脱却し、福岡市が持つ自然、歴史、文化を基礎に、都市の成長をコントロールすることが必要です。
 このような将来を見据えた市政運営をするためには、夕張市の破綻を見ても分かるように、市民が政策決定に関与出来仕組みが必要です。財政健全化は市民の負担のあり方と税金の使い方が問題なのです。「三位一体の改革」により、地方交付税・補助金の削減に替わって所得税から市民税へ税源移譲が始まり、一般財源化が進むことになります。既に自治体間の格差が生じている中で、一般財源化により自治体の裁量がひろがることで更に自治体間の格差が広がることになります。このような状況だからこそ市民が市政に関与出来る仕組みが必要です。

 以上のように2007年度予算案を見たとき就学前児童に医療費無料化、留守家庭子ども会の減免制度や35人以下学級を3年生まで拡充、学校など耐震化の予算の増額、人工島への病院移転費用の見送りなど市長が公約を守るための努力は見られますが、破綻が明らかな人工島事業に見直しがなされないままに従来通り約226億円の予算をつけていること、また五ヶ山アダムなどの無駄な水源開発の予算をつけていること、下水道事業におけるDOプランのあり方や南部清掃工場建て替えなど市長の環境政策などには賛同することはできません。議案第28号2007年度福岡市一般会計予算案の組み替えを求めます。

 最後に、議案第69号福岡市産学連携交流センター条例に賛成しましたが意見を述べます。この議案は九大移転に伴い、九大を核に産学連携と新産業創出を図るものです。しかしこのような施設は百道浜、人工島にも計画されており、分散してこのような事業を進めることが果たして政策として妥当なのか疑問です。名古屋市や京都市など他都市の事例を見てきましたが、福岡市の財政状況や他都市に比べて福岡市の周辺に有力な企業がない状況で、人も資金も集積しなければ失敗します。事業目的を達成させるためには資金も人材も集積させなければいけないにもかかわらず、このように分散させることは税金の無駄遣いになりかねません。港湾局、経済振興局、都市整備局の縦割りの構造でそれぞれの局の目先の利害でバラバラ事業を進めることは無駄な投資をすることになります。政策の総合調整と産学連携交流センターへ政策の一本化を求めて討論を終わります。