こども病院は誰のためにあるのか

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 「福岡市立こども病院の事項等位点の是非を藤樹民投票条例」直接請求の署名が8月28日に始まりました。街頭署名では多くの市民が駆け寄って署名する光景を多く目にするように、市民の関心は高い状況です。多くの市民や命を預かる多くの小児科医、産科医の反対の声が上がっています。
 9月9日に、患者・家族の方たちが市議会議員及び市長に「こども病院の人工島移転の見直し」を重ねて要請しました。同じ日に市内の産科開業医21施設の内19施設の産科医と市内の小児科医49名が連名で「こども病院の人工島移転の白紙からの見直し」を市議会議員63名全員に申し入れをしました。この申し入れには市内の8総合病院の勤務医、隣接する市の1総合病院の勤務医の9名が加わりました。総合病院の勤務医の方たちは産科の責任者であり、市内のほぼ全施設の産科医が反対している状況となっています。吉田市長は「一部の医師が反対していると聞いている」と定例記者会見で言っていますが、実態はこどもの命を預かる小児科医や産科医の圧倒的多数の医師が反対しているのです。市の中央部から東のはずれの人工島に移転することは、緊急自にには間に合わないと指摘しています。交通アクセスが悪く、利便性が悪い人工島は命を預かる医師にとって認めらあれないと言っているのです。人工島移転は一体誰のための野でしょうか。こどもの命を犠牲にして良いのでしょうか。
 そもそも、病院運営審議会にこども病医院の移転先について諮問しなかったことに市長の「悪意」が見えます。こども病の早期建て替えやこども病院の充実には誰も反対していません。しかし、どこに整備をするか大きな問題です。こども病院が2次医療、3次医療を担い、小児科医や産科医を支えている構造が崩れれば、市内のこどもの命を預かる医師にとっては大問題です。多くの市民も利用できなくなります。どこで整備するのか、何故現場の声を聞こうとしないのでしょうか。
 市民が利用できなくなる、産科医や小児科医の2次医療が減ると言うことは、こども病院の経営にも大きな影響を与えます。こども病医院の建物が立派になっても多くの市民が利用できないことは本質的な問題であり、また利用者が減ることは病院の赤字が増え、病院の健全運営はおろか、高度な医療技術の維持さえも危ぶまれます。このままでは市民に負の遺産を残すことになります。

病院経営にこのような指摘もあります。

 収入が84億円となっておりますが、現在の収入が50
億円しかないのに、人工島に移転して1.5倍以上も増
収になるのか、まったく理由が分かりません。

 また、百歩(ほんとは千歩以上)譲って年間17億円で赤
字が済んだとしましょう。30年間で510億円となります。

 私が従来から申し上げている計算では収入は小児科
部分は5億円の減収、周産期で3億円の増収(しかし、
この部分は経費がその3~4倍)で、差し引き2億円の
赤字。よって収入は48億円。
 今回、人工島での支出が示されたわけで、市の試算
を鵜呑みにして84億円。差し引き年間43億円の赤字
ではないかと思います。これに初期費用の償還分10億
円を加えると、年間50億円以上の赤字だと思うのです。
30年間ですと…(気が遠くなりますね。第二の夕張市で
しょう)。

 何を考えてるんでしょうね。

 こども病院はこどものために、市民のために、そして命を預かる現場の産科医や小児科を支えられる病院であるために、市の中央部に整備されるべきです。現地立替を含め、六本松九大跡地、当仁中学跡地、田島寮跡地と整備する用地はあるのです。吉田市長は公約違反だけでなく、市民のこと、こどものことをどれだけ考えているのか、破綻している人工島事業のためにこどもの命を犠牲にしようとしているのです。これを許して良いのでしょうか。民主党を始め、賛成各会派の議員はこどもの命をどのように考えているのでしょうか。