「都市の成長」が「生活の質の向上」に繋がるというトリクルダウンの発想からの転換を!

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福岡市の未来は文化・芸術の振興と100年後に評価される都市景観形成から

福岡市の基本計画(福岡市の将来像)は「都市の成長」と「市民の生活の質の向上」の好循環がキーワードとなっています。「都市の成長」とは経済的成長をさしており、規制緩和による天神地区の再開発やウォーターフロントの開発、企業を誘致、様々なイベントや会議などを誘致することで経済成長を図るというものです。福岡市は商業都市であり、人の交流によって経済が成り立っています。しかし、地球環境の問題や資源・エネルギーの問題から経済成長を続けることはできないと指摘されてきました。また、日本では超高齢化社会を迎え人口減少が始まっており、必然的に日本経済は縮小せざるを得ません。従来のように大量生産と大量消費による経済は持続可能な経済とは言えなくなっています。とりわけ地方都市である福岡市では、従来のように都市再開発や国内外からの企業の誘致による「都市の成長」には限界があります。福岡市でも経済対策として地場中小企業の支援と一次産業の支援と6次次産業化の推進する政策がとられています。
しかし、高齢化が進み人口減少社会を迎え、地域経済が持続的に維持できるようにするには、文化・芸術活動を支援し、文化・芸術の従事者を増やし交流人口を増やすことが必要です。そのためには文化・芸術の理解者と支える市民(文化・芸術の消費者)を増やさなければいけません。幼いときからの文化・芸樹の鑑賞や創造力を育てる教育が必要であり、福岡市はこれらにもっと投資すべきです。同時に、福岡市が持つ歴史、文化を生かした都市景観と都市空間(特に誰でも利用できる公共空間やベンチ、木陰など)を形成し、風格がある都市を造り出すことで、都市の魅力を高め持続的に人の交流を創り出します。これは50年、100年の長期的スパンで事業を進めなければなりません。
生活の質の向上には、物質的豊かさだけではなく、精神的な豊かさも必要です。豊かさの質を転換させるには、暮らしのあり方、働き方も変えていかなければいけません。また経済成長が継続することも考えられず、定常的持続可能な社会を想像すべきです。経済成長を追い求めるのではなく、暮らしのあり方、生活の質の向上が持続可能な経済と社会を実現します。福岡市政の基本計画の基調である「都市の成長」が「生活の質の向上」に繋がると言う発想がいま問われています。「都市の成長」が「生活の質の向上」を生み出すという発想は、トリクルダウン(富めるものがもっと富めばやがて貧しきものにも恩恵が行き渡る)が虚構であるように、経済成長が生活の質を向上させることにはなりません。福岡市の政策転換が必要です。