監視社会にNO!デジタル関連法案可決に抗議する!

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本日5月12日昼過ぎにデジタル関連法案が可決成立しました。国民的議論がなされないままの強硬審議は安倍政権と同じ民主主義をないがしろにするものです。高度情報化社会が進む中で、個人情報保護を強化し、個人情報の利活用の在り方については国民的な合意が必要です。多くの法律家や有識者などがデジタル関連法案の問題点を指摘していますが十分議論が尽くされているとは言えません。

菅政権が進めるデジタル化は、私たちの個人情報を資源や情報として利活用することに重点を置き、プライバシーが人権として明確に位置付けていないことにあります。特に行政に対する個人法保護のシステムが弱く、行政が「業務や行政遂行上必要」とすれば本人の同意を得なくても目的外使用ができ、また第三者にも提供することができることとなっています。第三者による個人情報保護のチェック機能が弱いことは監視社会につながります。ドイツでは第三者機関に調査権、勧告権、命令権があり、行政、警察、軍をチェックしていますが、日本の第三者機関にはありません。

デジタル庁設置法案では、首相をトップとするデジタル庁が各省庁や自治体に対して強い「勧告権」を持って行政情報を一元的に管理するシステムがつくられます。マイナンバ-が税や社会保障だけでなく、免許書、保険証、銀行口座、国家資格。学校の成績などに紐づけされるなど拡大され、官邸が国民の個人情報、特にセンスティブな個人情報も含めて把握することになります。大量の個人情報をAIでプロファイリング(分析・評価・類型化)し、特定の対象者を監視し、また情報操作により私たちに行動変容させます。権力を持つものが個人情報を握ると監視社会につながることは、前川元文部事務次官の事例に典型的に現れています。同時に、一元的に情報管理することは、サイバー攻撃や様々な事業の委託化が進むなかで、外部流出等の危険性は一層高くなります。

EUの「一般データ保護規則」では、データはデータ主体(個人・法人)のものであり、原則データは同意なしに使えないとし、勝手にプロファイリングされない権利を定めています。また、アメリカではAIによる顔認証技術は差別を助長するとして警察の捜査を含めて使用を禁止する自治体が増えており、EUでもAIによる顔認証技術を規制することが表明されています。カナダ・トロント市のスーパーシティでは、街中に電子センサーを張り巡らせ、人々のスマートフォンを追跡し個人データを集めることが判明し、市民から反対運動が起こりました。企業は事業の核心であるビッグデータが入手できなくなったことから撤退しました。中国ではすべての国民や在住者は監視されており、AIによる顔認証技術を使いウイグル族を弾圧していることが問題となっています。

いま福岡市は同意を得ないまま18歳、22歳の個人情報を自衛隊に渡しています。法定受託事務である「自衛隊員の募集に協力する」ということは、ポスターの掲示や募集案内を市の施設内に置くなどであり、個人情報を提供することではありません。市の裁量で同意なしの名簿を提供しているのであり、行政の裁量権の逸脱で明らかに人権侵害です。これはデジタル監視社会の先駆けであり、福岡市の行為は許されません。高度情報社会だからこそ、本人の同意なしに個人情報の収集・使用は禁止すべきです。福岡市の同意を得ない個人情報を自衛隊に提供することは直ちに中止するともに、デジタル関連法については廃案にし、高度情報社会にふさわしい法に作り替えることを求めます