住民投票条例制定請求の署名は法定数に達せず

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 昨日、最終的に住民投票条例制定の署名の集約が終わりました。受任者になられた方、署名をいただいた方、ご協力ありがとうございました。結果は法定数23,095筆に対して署名数は9,647筆でした。条例背訂正級は実現できませんでしたが、今回の署名活動の反省(成果)を踏まえて、次のステップに向かいます。受任者になられた方や署名していただいたかのご支援を今後ともお願い致します。

 署名数が法定数に至らなかった最大の理由は受任者が417名で目標の1000名に届かなかったことです。受任者になっていただくための活動が足りなかったことはこれからの活動に生かされるべきものですが、署名活動で手応えを感じています。これを次のステップにつなぎ、成果を上げてゆきたいと考えています。

 今回の住民投票所売れ制定請求の取り組みは地方分権が叫ばれる中、市民自治を実現する一歩でした。本来市民がすべてのことに直接参加し決めることが民主主義としてあるべき姿ですが、現実的には出来ません。議会制民主主義が運用されていますが、選挙民はすべてを議員に白紙委任しているわけではありません。議会と民意が異なることがあります。議員の権限は有権者の投票に基づくものであり、議員は有権者の負託に応える責務があります。市民にとって重要な案件について市民が意思表明をした場合は、市民が住民投票で直接決める仕組みを作ることが民主主義です。

 今回の取り組みで、玄海原発の問題、福岡市が九電と安全協定を蒸す必要性、こども病院の移転問題、そして住民投票について多くの方と話し合う機会が出来ました。今回の活動をステップに次の活動に取り組みます。一つは常設型の住民投票条例の実現に向けて、二つ目は玄海原発の問題を継続、三つ目はこども病院の問題(移転場所が海岸そばは本質的に問題、病院建設入札を巡る疑惑、原建て替え票を水増し門だの真相解明)を継続し取り組みます。

 現在大阪市、静岡市、東京都で重見投票の準備が進められています。国民投票の取り組みも行われています。これらの活動とも連動して活動していきます。ご支援よろしくお願いします。

 以下8日(火)記者会見資料です。

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報道関係各位

大事なことは市民が決める
福岡市住民投票条例制定のための署名活動終了のご報告

2011年11月8日
フクオカ住民投票の会
共同代表 宇田純子
共同代表 黒木鞠子
(連絡先:080-6770-1957 宇田携帯)

法定数に届かず終了~始めの一歩宣言

私たちの署名活動が終わりました。
報道関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
10月3日から11月3日までのひと月があっという間に過ぎていきました。短い間でしたが、住民投票の意義、多くの市民が市政に関わっていく必要性を考え話し合う機会ができたこと、そしてこの活動を通じて私たち自身が成長できたことを本当に感謝しております。私たちの活動の反省としては、署名を集める受任者の確保や情報共有のための勉強会などの準備不足が大きく響きました。住民投票条例制定請願の署名数を集められず、受任者や協力者の皆様にお詫び申し上げます。確かに敗北しましたが、私たちは受任者の方々の熱意を今後の活動に活かそうと思っています。

総署名数9,647筆
受任者数417名

①街頭署名活動
天神地区での定期的な街頭活動では、住民投票条例制定の課題とした「こども病院移転問題」と「原子力安全協定」についてアピールしました。九州電力本社が近く、原発の問題への拒否反応があり逆風の中での街頭活動でした。311以後、原発問題への関心の薄れは、福岡だけの問題ではなく、東京都民にも言えるそうですが、玄海原発の再稼動が危惧されていた中で、このような市民の無関心が原発推進を目論む政財界に有利に働いてしまったと思います。一方で、街頭では市外県外からの方々もかなりいらっしゃって、「署名できないんですか?」と声を下さいました。原発安全協定やこども病院の移転問題は、福岡市民だけの問題ではなく、地震が起きれば福岡市内にいる人すべてが被災者となるのです。それにしても、福岡市民は311震災・フクシマ第一事故からどういう教訓を学び取ったのでしょうか。私たちの今後の課題でもあります。

②受任者の署名活動
受任者を拡げられなかったことが敗因ですが、それでも、受任者の熱意とご努力で、家を一軒ずつ訪問し丁寧に説明して署名を頂くという地道な活動の成果として署名数が伸びていきました。受任者の方々にも署名を下さった皆様にも感謝しております。
市民が考えて市民が決めようという民主主義の基本となる活動を受任者の皆様がお忙しい中毎日続けて下さり、ご友人やお知り合い、ご家族に署名頂けたことに心から敬意を表します。選挙が終わったら、後は面倒な問題は避けて楽に暮らしたいのが普通ですが、私たちが政治家や行政、産業にすべてを丸投げすれば、彼らも丸投げしようとします。私たちが常に市政をチェックし問題を話し合い解決しようとする基盤が、今回、微力ながらも作ることができたのではないか、と思います。準備不足を反省しながら、是非今後とも受任者の皆様からと情報交流の場を持ち、つながっていきたいと思います。民主主義の原点は、私たちが問題意識を常に持ち、政治や経済を見る目を養うことだったと改めて思いました。

③全体的な認知度の低さ
TVや新聞で取り上げられ、講演会やイベントでも署名の場を設けるなどご協力いただき、ネットでHPを立ち上げたものの、署名そのものを知らなかった、どこで署名できるのかわからなかった、という方がいらっしゃいました。ネットをしない方も多く、1ヶ月間の活動なので認知度が低かったことは大きく影響しました。組織力の問題ですが、後半になって受任者が増え、活動が活発になっていったものの、一ヶ月があっという間に過ぎていきました。

今後の活動について~始めの一歩から次のステップへ
受任者の皆様とともに集めた署名簿は焼却処分となります。断腸の思いです。
しかし、署名で集まった市民の皆様の熱意を決して無駄にしたくありません。
受任者や請求代表者の多くが敗北とは感じておらず、始めの一歩を踏み出したのだ、と考えています。あきらめていません。

私たちは、請求者代表名で市議会に住民投票条例制定の請願を行うことを考えているところです。
解散するべきか継続するべきか迷っていましたが、昨日の会議でフクオカ住民投票の会について継続を望む声が多く、再来週のミーティングで議論して今後の活動のあり方を決める予定です。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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<添付資料>

平成23年11月8日

今回の直接請求を振り返って

福岡市博多区諸岡六丁目11番12-405号
請求代表者  本河知明
(荒木議員政策スタッフ)

当会代表による文書には載せることができなかった、個人的な感想を以下述べさせていただきます。

●「原発には賛成だけど、住民投票は必要だと思うから署名する」、「こども病院の人工島への移転には賛成だけど、住民投票は必要だと思うから署名する」という声を少なからずいただきました。たしかに私たちの署名活動は「原発反対のため」「こども病院の人工島移転に反対のため」の署名活動という側面はありましたが、最も伝えたかった「大事なことは市民が決めよう」というメッセージは、確実に伝わっていたと感じました。

●また、「原発やこども病院以外にも、いろんなテーマで住民投票したい」という声も多数いただきました。何もかも政治家におまかせするのではなく、「大事なことは市民が決めよう(住民投票で決めよう)」という市民の想いは、確実に広がっていると感じました。

●その一方で、「これまで何度も署名してきたけど、何も変わらなかった。今回も、署名してもきっと何も変わらないに決まっている」という声もいただきました。

●これらの声は「いまの議会制民主主義が必ずしも市民の声を反映できていない」という問題点を如実に表していると考えます。民主主義国家において当たり前のことである「自分たちのことは自分たちで決める」という自治の基本を訴えた今回の直接請求が50分の1に達しなかったという事実は、政治に対する諦め・虚無感を生みだしている「現在の政治の敗北である」とも言えると思います。

●今後については、まだ当会としてまとまっておりませんが、個人的には「常設型住民投票条例」の制定をめざして活動を続けたいと思っております。

●今回の原発とこども病院にテーマを限定した住民投票条例では、報道関係者の皆さまも思い切った報道ができなかったと思います。しかし、これから私が進めてまいりたいと思っております「常設型住民投票条例」の制定は、報道関係者の皆さまにとってもめざすべき目標だと思います。報道機関としての誇りを胸に抱いて、ぜひ「常設型住民投票条例」実現のためのキャンペーンを展開していただけたらと思っております。日本に真の民主主義が根ざすか否かは、報道機関の皆さまの仕事如何に関わっていると強く信じております。