がれき受け入れは震災復興になるのか!

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 いま震災復興に向けて国はがれきの広域処理を進めています。しかし、本当に広域処理が震災復興につながるのでしょうか。また、放射能汚染の拡大にならないのでしょうか。私たちはきちんと自分の目で確かめる必要があります。何よりも、「がれき受け入れ拒否は非国民」という国・マスコミ一体となったキャンペーンはまさに日本が戦争に突入したときのような危険のものを感じます。情報を公開せず、公開で議論を行なわず、検証されていないまま、国民の目に見えない状況で、「被災地を支援したい」という国民の善意を利用して進められていることに最も大きな問題があります。広域処理にお墨付きを与えた環境省「災害廃棄物安全評価検討会」は非公開で行われ、会議録も公開されていません。また現地の声も正確には報道されていません。歪められたこの広域処理は、まさに「がれきビジネス」「震災ビジネス」と言われる利権構造の中で進められているのです。
 いま地方に必要なことはがれきの受け入れではなく、被災者・避難者の受け入れであり、最も重要なことは放射線にさらされている汚染地域のこどもたちの受け入れではないでしょうか。同時に汚染がレベルが低い九州は日本の安全な食料生産地であり、放射能汚染を少しでも避ける必要があります。多額の税金を使って放射能を拡散させることが、国民の利益にかなっているとは考えられません。

1、震災がれきの安全性
(1)震災がれきを焼却することの問題
 震災がれきには様々なものが雑多に混在しています。その中にはアスベストや、PCB,ヒ素や六価クロムなどの特別管理産業廃棄物や、様々な化学物質、重金属類があると言われています。さらに放射能が付着していることが環境省の調査でも分かっています。分別が難しいため十分分別できないままにこれらを焼却すれば、環境中に放射能及び重金属類やダイオキシンなど有害物質が環境中に拡散されることになります。焼却炉のバグフィルターでは十分回収することは出来ません。先日島田市でがれき受け入れの実験焼却がなされましたが、島田市のデーターから、バグフィルターで回収できた放射能は60%程度と言われています。回収されない放射能は島田市の環境中に拡散したと言うことです。

(2)放射性廃棄物は移動させるべきでない
 そもそも放射性物質について一般廃棄物についての法律「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」には規定がなく、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」でも原発敷地外での規定はありません。原子力規制法では原子力施設の放射性廃棄物は、放射性セシュウム100ベクレル/kgをクリアランスレベルとしています。震災前は100ベクレル/kgを超える放射性廃棄物は厳重に管理されていたのです。しかし、放射能汚染が生活環境中広がることを想定していなかったため、十分な検討もないまま泥縄的に処理を決めたて来ました。10万ベクレル/kg以下のものは一般廃棄物処分場で処分しても良いというメチャクチャなことを言っているのです。群馬県伊勢崎市の一般廃棄物処分場では、1800ベクレル/kgという国の基準より大幅に低い小差性廃棄物焼却灰であったにもかかわらず処分場からセシュウムが流出しています。処分場からの排水からセシュウム等放射性物質を除去することは出来ません。放射能は閉じ込めることが原則です。そのためにあ放射性物質は国が集中管理べきです。

(3)放射能に閾値はない(安全という基準はない)
 放射能には安全と言える数値がないことは国際的に認められています。確率的にガンなどになると言うことで、被曝量が下がればガンになる人の数が減ると言うことです。被爆量は環境から受ける外部被曝と、食べ物や空気などから体に取り入れられた放射線による内部被曝とでは被爆量に大きな違いがあります。また、放射線の影響は大人よりこどもは10倍受けやすく、最も影響を受けるのは胎児と言われています。未来を担うこどもたちの健康を守るにはより慎重な取扱が必要です。原発事故によって放射能汚染が広がっており、生活環境に広がっている放射能汚染されたものの処理は、原子力敷地より厳しく管理されなければいけません。

(4)安全ながれきは存在するか
 国は震災がれきについて安全なものを依頼すると言っていますが本当に出来るのでしょうか。サンプル調査をしていますが、サンプル以外のものが大丈夫とは言えないことは国も認めています。また、セシュウムについては計測は難しくはありませんが、プルトニュウムやストロンチュウムの計測は難しく事実上なされません。林野庁や環境省の調査では、がれきを焼却すると焼却灰は10~100倍、場合によっては350倍に放射能が濃縮されるというデーターが示されています。ND(検出限界以下)でも焼却すると大きな数値になることがあります。

2、広域処理に利権の臭い
(1)がれきの広域処理が進まないことが復興の妨げではない
 国はがれき広域処理が復興を妨げていると言っていますがそうではありません。震災がれきの送料は2400万トン、そのうち2000万トンは域内処理が決まっており、広域処理の対象は400万トンです。がれき処理は5%程度しか進んでいないと言いますが、全体の17%しかない広域処理が進んでも全体として処理がそれほど進まないことは明らかです。

(2)地元ではがれき処理は地元でしたいという声があります
 震災がれきは被災者の遺品も含まれており、通常のゴミとして焼却してほしくないという声も聞きます。また、がれき処理は問題がないレベルであれば地元で処理し、効用対策にしたいという首長もます。岩手県岩泉町長は「使っていない土地はいっぱいあり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこにあるのか」と言っています。
 問題なく焼却できるものなら現地で仮設焼却炉を作って処分した方が経済的であり、雇用面からも復興に役立ちます。危険なものであればコンクリートの遮断施設に封じ込め埋め立て処理をするなどの対策を取るべきです。画像に載せたように、がれきを埋め立て防潮堤にするとともに被災者を慰霊するモニュメントする案も示されています。国はこのような声に耳を貸さずに広域処理を進めています。現地の声をきちんと反映していません。 

(3)広域処理で利権が動く
 広域処理で利益を得るのは運輸関係、産廃処理業者、そして過剰な焼却施設を持つ自治体です。処理費用は全て税金が使われます。東京では震災がれきを処理しているのと東京電力が95.5%出資する子会社東京臨海リサイクルパワー社です。原発事故を起こした東京電力が復興基金から子会社を通じて利益を得る仕組みなっています。本来廃棄物の処理は域内処理が原則です。広域処理は本質的に問題があります。