2月議会報告

Pocket

2月議会報告
2005年2月21日(月)
議案質疑
 2月議会は16年度補正予算及び、16年度内に決すべき条例、報告案件である。今議会での重要案件は人工島における学校用地取得の同意議案および人工島直轄化のための博多港開発第二工区埋立権譲り受けの同意議案である。5人が議案質疑に立ち、私を含めて4人が人工島直轄化について、同じく私を含めて4人が人工島における学校用地取得について、私ともう一人が新タラソとの契約について質問をした。その他、人工島市工区の土地売却に関連した質問、指定管理者入札の考え方についての質問がなされた。
 以下、私の質問を報告する。

1、学校用地に取得について
 この議案質疑は、
①人工島に学校用地取得する理由がない、
②用地取得価格が107500円/㎡は高すぎる、
ということである。
 まず、人工島に学校用地を取得する理由は何かである。教育委員会は、学校用地取得の理由を平成15年の新マスタープランに基づき、人工島の良好な街づくりに寄与する、また中央教育審議会の方針が変わり市が主体的に教育を進めならなくなっているとし、
①小中学校を同一敷地内に設置することで系統的・継続的・発展的な教育
②ロボット特区や経済特区などの人工島の特性を生かした先進的な教育を行う
③未来に切り開く学力を育む夢を育てる教育
④地域と共に歩む学校づくり
⑤教育センターと連携した研究開発校
をあげている。しかし、どうして人工島でなければいけないのか、その理由はどこにもない。教育委員会は百道浜に中学校建設することを断念した。その理由は児童数の増加が見込めないことを挙げている。ところが、人工島における児童数は教育委員会の見込みでも少ないため、半数は区域外からの通学となる。地域とともに歩む学校づくりなどどうやって作るのか不思議である。また、百道浜の中学校用地は小学校と隣接していること、ソフトリサーチパーク、博物館、図書館、病院、養護学校など既に集積されており、教育委員会が言う先進的教育に適している。小学校、中学校が隣接しているところは外にもいくつもあり、人工島でなければならない理由は一つもない。家も建っていない、人も住んでいないところにどうして学校を造るのか、教育委員会での論議も結論ありきで、議論がなされたとは考えられない。
 次に取得価格である。教育委員会は学校用地4㌶を1㎡107,500円、総額43億円で取得するとしている。その根拠を福岡市不動産価格評定委員会が評定した1㎡108,
000円以内であるからとした。では不動産価格評定委員会はどのような評定をしたのか、2㌶での類似した近隣の用地を比較し、取得面積が4㌶であるので規模からの減額を行い108000円としたと説明している。しかし、隣接する共同住宅地は1㎡98,500円、戸建て用地は3万円、住宅用地は平均7万円、中央公園用地は82,500円である。どうして実勢取引が価格には反映されないのか誰もが疑問に思うもうところである。教育委員期は博多港開発との協議の末107,500円にしたと言っている。明かに博多港開発救済のために高値で購入したとしか考えられない。

2、人工島直轄化について
 福岡市は博多港開発だ2工区の埋立権利を買い取るために396億円を支出する議案を出した。この直轄化する理由として、金融情勢が厳しくなり、かってのコーポレイトファイナンスからプロジェクトファイナンスに変わり、銀行が短期の利益を求め、博多港開発への融資をしないために、中長期に亘る事業を継続するために市が埋立を行うと答えている。このことは銀行が事業の採算性を認めていないと言うことであり、人工島事業が破綻していることを意味している。銀行は市長が10大プロジェクトの点検をした当時から、福岡市へ損失補償を迫り、事業計画見直しの実態は30億円の増資、土地張り付き約定返済と200億円の博多港開発への緊急貸付枠の予算化と損失補償そのものであった。直轄化もその一環であり、直轄化後の博多港開発への融資条件も厳しい土地処分条件と100億円の緊急改質家枠の設定と依然と変わっていない。
 市長は福岡市の将来に必要な事業と言っているが、他都市の事例を見れば埋立地のと処分はうまくいっておらず、状況をどう見ているのかという質問には、それぞれの都市が努力しているとしか答えていない。市長は「引き返す勇気を持って見直しをする」と公約したにもかかわらず現状追認し、最終的に直轄化により市民に借金を肩代わりさせることに対する責任には何も答えていない。大阪市では第三セクター破綻処理で特定調停を行い、銀行に債権放棄をさせている。第三者による破綻原因と責任の所在を調査し、市長以下責任者の給与減額等の措置を執っている。ところが今回の直轄化は、責任の所在を明らかにせず、誰も責任を取らないまま、全てを市民に肩代わりさせるもである。

3、新タラソとの契約について
 東区箱崎、旧食肉処理場跡地に作られたごみ焼却場第4工場の余熱利用施設タラソが破綻し昨年11月から閉鎖されていた。市は事業再開を急ぐことを優先し、市が施設買い取りをしなくてよいことなどから、新タラソの契約を今回議案として提出。福岡市初めてのPFI事業であったが、受注企業の需要予測の甘さ、また特別目的会社への融資銀行が福岡市が破綻時の買い取り価格以上の融資をしないという状況で、PFI事業として機能せずに破綻した。福岡市PFI推進委員会はこの破綻の総括のための中間答申を出している。この中間答申では、PFI事業の中核となるプロジェクトファイナンスにおける金融事業者の役割が不明確であること、需要予測が十分に検討されていないこと、また事業中断を生じさせないスキームが作られていなかったことを指摘している。
 そこで、旧タラソの施設を買い取り新タラソを立ち上げた事業グループとの契約について質問をした。金融事業者の役割、また事業中断を生じさせないスキームについて契約に反映すべきとのPFI推進委員会が指摘していることが、契約に生かされているのか質問した。市は旧タラソとの契約をそのまま継続するとし、需要予測についてや金融事業者の役割についても施設の保全は九州リースが行い、経営はコンサルタント会社が担い、運営はコナミが行うので大丈夫と答えている。しかし、契約に反映されていないことが責任を曖昧にするおそれがあり、また事業が行き詰まった時点での対応が遅れることになる。PFI推進委員会の中間答申を生かした契約を求めた。

22日(火)
消防局、都市整備局:補正予算の審議
1、消防局関係
1)補正予算
 新司令設備建設費差額による減額補正などであった。

2)西区元岡地区九大移転地そばに西消防署新出張所の建設についての報告がなされた。新出張所建設により、出動時間が北崎方面へ現在12~13分かかっているところが6分、西浦地区では現在18分かかっているところが9分に短縮されることになる。

2、都市整備局関係
1)補正予算
 九州新幹線の着工にともない、博多駅に在来線の一部を九州新幹線駅に改造することになり、その工事について福岡市が36億円の負担をすることになった。16年度負担分として1億2千万円が計上された。これについて、黒字の民間企業について補助するのはおかしいという指摘があったが、法に基づくものであることと、また、福岡県と市との地元負担割合は県6,市4でると答弁がなされた。
 
2)都市計画審議会の附議議案の説明
 九州新幹線開通に合わせてJRが博多駅を建て替えするに当たり、駅前広場及び通路のの整備について、都市計画審議化に附議される議案について説明がなされた。駅前広場は道路の一部として都市計画審議化の承認が必要となっている。今回の変更は西側半分を歩行者空間の広場にし、駐車場を地下に設置する、また駅からバスセンターへを2階の空中回廊で繋ぐ計画となっている。
 もう一件は東浜に廃木材をチップ化する資源化工場の建設と西区太郎丸(瑞梅寺川河口西側)にペットボトルに資源化工場建設について都市計画審議会の承認を得るものである。産業破棄物処理場は環境局及び建築局の許可と同時に、都市環境への影響から都市計画審議会の承認が必要となっている。

23日(水)
建築局関係
1、補正予算について
 国の補助金削減により、公営住宅ストック総合改善事業を減額補正することになり、建て替え改修計画を年度割りするなどの変更がなされた。国は公共工事の削減を進めており、住宅政策を18年度から変更するための法案を国会に17年度に提出すという。17年度は平成12年から始めた公営住宅ストック総合改善事業を見直しする年でもあり、今後の国の動きを見ながら計画見直しをするという。現計画では建て替え3000戸、改修4000戸としているが、国の補助金削減及び住宅政策変更により、計画を維持することは難しいと考えているようである。市営住宅31000戸の総数を維持しながら、建て替えの時期、床面積、等の見直しをせざるを得ないと答えている。

2)市営住宅滞納者に対する訴訟の提起及び和解の専決処分の報告と、市営住宅博多区那珂団地エレベーターの点検中における落下事故について報告があった。エレベーター落下事故については福岡市では初めてのケースであり、現在労働基準監督局及び警察で原因究明がなされている。落下防止機能が働かなかったと言われており、全ての市営住宅のエレベーターの安全点を求める意見が出され、全エレベーターの安全点検を行うと答えた。また、委員長から、事故の調査結果が出たときには委員会に報告することを求めた。 

24日(木)
 議案について、討論の後採決が行われた。その後、請願審査についての採択が行われ、小規模作業所の支援についての請願は採択されたが、公立保育園を民営化することに反対する請願、ごみ処理有料化に反対する請願、人工島直轄化に反対する請願は不採択となった。

反対討論
議案第23号、議案28号、議案第31号、に反対して討論を行います。
 議案第23号は南区における駐輪場の指定管理者を指定することについて同意を求める議案です。これまで駐輪場はシルバー人材センターに委託してきましたが、指定管理者制度を導入し、指定管理者について入札が行われてきました。駐輪場の指定管理者を入札に掛けることの政策的な意味合いが一体どれだけあるのか疑問です。
 そもそもシルバー人材センターは高齢者の生き甲斐づくりとして国及び自治体で設立され、高齢者施策の一翼を担ってきました。また、シルバー人材センターにおけるこの間の駐輪場の管理運営について経験を蓄積していること、委託価格についても決して高いものではなく、指定管理者を入札する理由はないと考えます。むしろ、先日の報道でも指摘されているように、市の経費削減のみを追及する姿勢が問題なのです。定期や回数券が、購入した駐輪場しか使えないということが市民に新たな負担を強いることになっており、一体誰のために、何のために新たな駐輪場管理のシステムを作ったのか訳が分からないことをやっています。市長は常々「市民のために、市民とともに」と語っていますが、これが市長が語る中身なのでしょうか。まさに政治の貧困を示すものです。
 これまで委託してきたシルバー人材センターの委託をやめて指定管理者を入札するという発想も、同様に貧困なる政治の表れとしか言い様がないものです。指定管理者制度を導入しても、政策目的からすれば、従前通りシルバー人材センターに指定すべきです。よって、本義案に反対するものです。

 次に議案第28号人工島に小中学校用地を購入する議案について反対討論をします。そもそも家も建っていない、人も住んでいない、児童数も見込めないところに学校用地を買い取る必要があるのか、市民のだれもが納得していません。人工島の特性を生かした、小中連携の研究開発実践校を作るとしていますが、どうして人工島でなければいけないのか、その理由は明らかではありません。小中学校が隣接したところはいくつもあります。百道浜では小学校のそばに中学校用地を確保していたにもかかわらず、児童数が計画通り増えないことを理由に売却するとしています。人工島は百道浜の状況よりももっと不確かな状況であり、もし新たな取り組みを提起するならば、ソフトリサーチパークや養護学校、病院、博物館や図書館などが既に集積している百道浜の方がより優れていると言わざるを得ません。
 そもそも今回人工島での学校用地を購入することについてどれだけ教育委員会で議論されてきたのか、また真剣に小中連携の研究開発校について論議されてきたのか疑わざる終えません。人工島の学校用地取得について市長が「人工島の土地処分のためのインフラ整備」と言っているように、全てが「人工島ありき」であり、教育のためでないことは明らかです。こんなことで市民を納得させることが出来るとは考えられません。また、教育委員会が本当に機能しているのか、単なるイエスマンでしかないのではないか、福岡市の将来が危ぶまれます。
 次に取得価格です。福岡市不動産価格評定委員会が評価した1㎡108000円以内としています。この価格の正当性がいったいどこにあるのでしょうか。隣接した住宅地の単価は共同住宅用地で98500円、戸建て住宅は3万円、平均で7万円、公園用地は82500円となっています。どうしてこの価格とかけ離れた価格なのか、市の答弁では住宅用地の取引が異常と言っているように聞こえますが、経済原理に従えば実勢価格がベースになることは当然です。博多港開発救済のために高い価格で購入するとしか考えられません。
 必要もない土地を、実勢価格とかけ離れた価格で買い取る、破綻した人工島事業継続のために教育さえもねじ曲げるこの議案に反対します。

 次に議案第31号人工島博多港開発第2工区の埋立権譲り受けについて、反対討論を行います。そもそも、山崎市長が市長として初当選したとき、「引き返す勇気を持って見直しをする」と公約したにもかかわらず、現状を追認し、破綻している人工島事業を続け、最終的には市民に全て負担させる結果になった市長の責任は大きなものです。
 市長が初当選した平成10年には日本経済は大きく変貌し、地価下落が続いており、事業を抜本的に見直さなければいけない時期になっていました。しかし、抜本的見直しはなされませんでした。平成11年にに山崎市長が10大プロジェクトの見直しを行い、人工島について従来通りの事業で採算はとれるとしたそのときには、当時の日本興業銀行はこのままでは100億円を超える赤字になるので、福岡市が損失補償をしなければこれ以上融資できないと融資を拒否したことがケヤキ庭石事件の公判で明らかにされています。福岡市・博多港開発は協調融資団が壊れることを防ぐために奔走した様子が検察官の冒頭陳述で述べられています。
 新生銀行、鹿児島銀行、あおぞら銀行が融資をやめ、残りの11銀行は福岡市に損失補償を迫り、土地張り付き約定返済とういう極めて厳しい融資条件と、30億円の増資、博多港開発に緊急貸付枠200億円を予算化をせまりました。この結果、土地が売れないために福岡市は必要がない土地を買わざるを得ず、計画にない大規模公園を人工島に造る、本来開発者である博多港開発が整備すべき道路を公共事業として土地を買い取り整備する、住宅地については福岡市住宅供給公社に買い取らせ、そのために銀行に150億円の損失補償をする、など次々と税金をつぎ込み、無理矢理事業を進めてきました。また、地価の下落により、博多港開発は福岡市から87億円の緊急貸付を受ける事態となりました。
 昨年2月に博多港開発が第2工区の埋立の期間伸長の手続きをしたとき、事業継続が出来ると許可したにもかかわらず、すぐに直轄化を打ち出し迷走しました。さらに市住宅供給公社は照葉プロジェクトの失敗を受け、積水ハウスに住宅開発を進めてもらうために、戸建て住宅1㎡3万円、平均価格7万円という異常な価格で土地売却をする、家も建っていない、人も住んでいないところに学校用地を購入するなど、とても常識では考えられないことまでしています。
 今回の博多港開発からの埋立権譲り受けの理由は、銀行がこれまでの市の信用を背景に博多港開発に融資してきたものをプロジェクトファイナンスに変わり博多港開発への融資をしなくなり、博多港開発では事業を継続ができないからだと答弁しています。銀行にとって、プロジェクトとして評価できないと言っているのであり、まさに人工島埋立事業が破綻していることを示しているのです。このことからも、福岡市が博多港開発から第2工区の埋立権を買い取っても、博多港開発に対する銀行の融資条件が緩和されたわけではありません。相変わらず土地売却に対する厳しい条件が課せられ、福岡市の博多港開発に対する緊急貸付枠100億円が予算化させられているのです。
 市長は福岡市の将来に必要な事業と言っていますが本当でしょうか。全国各地の埋立事業で成功した事例はどこにあるでしょうか。臨海副都心、みなと未来21,大阪湾咲州コスモスクエア、臨空タウン、神戸市パークポート第2期埋立、いづれも失敗しています。このまま事業を進めても、土地処分の見通しがないことは他都市を見れば一目瞭然です。経済構造の変化、少子高齢化が進む中で土地需要がないことはもはや明らかです。このままでは市民の借金は膨らみ続け、市民負担はさらに増大することになります。人工島事業の破綻を認め、埋立はだだちに中止する、博多港開発は会社精算し、銀行の貸し手責任、株主責任、市長の責任を明にすべきです。
 大阪市では第三セクターについて特定調停を行い、銀行に債権放棄させています。大阪市では第三者によって第三セクター破綻の原因と責任を調査しました。責任の所在を明らかにした上で市長他責任者の給与を減給するなどの責任の所在を示し、曲がりなりにも市民への説明責任を果たそうとしています。ところが、今回の直轄化は責任の所在も明らかにせず、銀行への借金返済を優先して、一方的に市民に丸ごと負担をさせるものです。こんなことは前代未聞としか言いようがありません。
 責任の所在も明らかにせず、誰も責任を取らず、説明責任も果たさないまま、市民および将来の世代に借金を負わせる、博多港開発第2工区の埋立権を買い取ることを認めることは出来ません。いまこそ「引き返す勇気を持って」人工島事業を中止するときです。責任の所在を明らかにして博多港開発を会社精算する、埋立事業を中止して市民を含めて抜本的見直しを求めます。
 
 最後に、新タラソの契約について意見を述べます。旧タラソ破綻について、福岡市PFI事業推進委員会が中間答申を出しています。今回新タラソとの契約を行うに当たり、この中間答申がどのように生かされたのか質問しました。しかし、今回のような事業リスクが大きいPFI事業では、中核をなすプロジェクトファイナンスにおける金融事業者の役割、また事業中断をなくすスキームについて、契約に反映すべきという答申が生かされているのか疑わざるを得ません。旧タラソとの契約を継続するということであり、リスクの回避についてあくまでも事業者の信頼性という抽象的なものでしかないことは、問題を残すことになります。事業中断が生じないスキームを担保するよう求めます。
 私は、タラソの事業が本来公共事業として市民に提供すべき事業であるのか疑問を持つものです。PFI事業推進委員会中間答申でも、まず公共事業として提供すべきサービスなのか事業評価が必要という指摘、需要リスクの検討のあり方、PFI事業として検討してもPFIでない選択も残すいわゆる0オプションの考え方が示されています。今回事業を早期に再開するということで新規事業者との契約になるようですが、結論ありきでなく、本来公共サービスとして提供すべき事業のか、市民へどのようなサービスを提供すべきか検討が出来たのではないかと考えます。PFI事業の総括にあたって、中間答申が生かされることを求めて討論を終わります。

25日(金)
 山崎市長から新年度予算について所信表明がなされ閉会した。