大阪市第三セクター破綻の現地調査

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大阪市第三セクター破綻の現地調査[1/3]
大阪市第三セクター破綻の現地調査[3/3]
WTC(左)とATC(右)

大阪市第三セクター破綻の現地調査[2/3]
大阪市第三セクター破綻の現地調査[2/3]
ATCの先にある野鳥公園

大阪市第三セクター破綻の現地調査[3/3]
大阪市第三セクター破綻の現地調査[1/3]
WTCの展望台からの風景
売れ残っている土地が広がる

ATC、WTC及び大阪南港野鳥公園視察。
日時:2005年2月10日(木)
目的:1月18日に大阪市役所でATC(アジアトレードセンター)及びWTC(ワールドトレードセンター)の特定調停について説明を聞いた。その日は時間の関係で現地視察が出来なかったために、今回野鳥公園の視察をかねて現地視察を行った。
1、ATC
ATC、WTCは咲州のコスモスクエアの中核施設である。ATCはITM館、O’sパーク北館、南館の3棟で構成されている。ITM館は14階の内6階までは約半分が吹き抜けの構造になっており、アミティと回遊性を持つと言うことでガラス張りと曲面が多い構造になっている。特殊なデザインのため、一般的な事務所に転用が出来にくいことが用途を制限し、採算悪化の原因にもなっている。1階は駐車場、2~8階までは小売業が主で、一部にレストランと貿易会社の事務所が入居。入居しているテナントは、輸入品取扱店が多いが、輸入家具、輸入宝飾品、輸入小物や写真館など雑多である。最も大きなテナントは大塚家具で、6階の約半分、7,8階は全フロアを占めている。2階には大阪市消費者センター、大阪市商工会議所の中小企業支援や起業支援のコーナー、9階から上の階にはジェトロ関連、ATC関連、インテリアデザインや住宅リフォーム関連デザイン、健康や環境関連、住宅関連などの展示場となっている。空き店舗や店を開けていないところも割とあった。まばらな人と、店を開けていないところがあるために薄暗いところもあり、よりいっそう閑散とした感じがした。
O’s北館及び南館は2階はショッピングとレストラン街、3階はレストラン街、4階は北館はアミューズメントエリア、南館はショッピング街。5階6階は事務所と会議室となっている。ITM館O’s北館、南館と繋がっている海側は公園として整備されている。両側は港湾施設となっている。ニュートラムと道路を挟んだ向かいにWTCがある。平日であったこともあり、ATCもWTCも人はまばらであった。

2、WTC
WTCは高さ21mのドームに覆われた3000㎡のイベントホールと高さ252m、55階のタワーからなっている。55階にパノラマ展望台があり、西は神戸から生駒山系、南は泉佐野りんくうタウンまで見える。55階の内使用されているフロアは1~6階、39~55階だけである。
展望台から見ると売れ残っている空き地が多くある。ATCのそばには運河を造り運河沿いにショッピング街やレストラン街をつくる計画になっていたが、出展者がなく空き地になっている。後で行ってみたが、1ヶ所だけアウトレットフーズの建物があるが、テナントは半分しか入居していない。もちろん人もまばらで、午後4時頃であったが、パン屋だけが営業していた。
目の前にある夢洲はまだ半分くらいしか埋立は終わっていない。周囲の埋立地を見ると、空き地が多いことが目につく。ちなみにタワーの入場料は大人800円、中学生400円、小学生200円。52階までは約80秒、52階から55階の展望ぢまではエスカレーターで行く。52階にレストラン1店、53階ブライダルショップが1店しか入居していなかった。

3、野鳥公園
野鳥公園は咲洲の端にあり、ATC、WTCから歩いて15分ほどのところにある。面積は19.3㌶(干潟部12.8㌶、緑地部6.5㌶)干潟部は3ヶ所の池に分かれており、南池は淡水、西池と北池は海に繋がっている。観察小屋は中央部に展望塔、北監察所と皆監察所が設置されている。
2月であり、カモ類など野鳥が多く飛来していると思っていたが、わずか3羽の尾長カモしか確認できなかった。辞書で理由を尋ねると、太田かなどの猛禽流が飛来しており、カモ類は昼間はよそに避難しており、夜間は戻っていると言うことであった。
干潟の面積は12.8㌶ということであるが、狭く感じた。人工島に計画されたいる野鳥公園は8㌶であり、とても野鳥公園とは言える物ではないと感じた。

4、視察を終えて
大阪港湾地区はいまも埋立が続けられている。大規模な開発計画がつくられているが、計画通りに進んでいないことは一目瞭然である。現在、夢州と咲州の間にトンネル工事がなされている。その一方で、WTCの展望台から見る風景は空き地が目立ち、何のための埋立なのか改めた公共事業のあり方を見直す必要があると感じた。夢洲と舞洲を繋ぐ「夢舞大橋」はタグボートを使って回転させる可動式の橋となっている。回転可動式の橋にした理由は、夢洲と咲洲との間で大型船が何らかの理由で航行できなくなったときに橋を回転可動させて大型船を航行させるという。しかし、本当にこんな橋が必要なのか疑問である。展望台の案内係の方は、未だ動いたところを見たことはないと言っていた。一旦つくられた計画の見直しが出来ないいまの日本の現実を感じた。これでは借金が増えるだけである。