3月議会報告(条例予算特別委員会)

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3月議会:2005年3月7日(月)~28日(月)
7日(月)、8日(火):代表質問、無所属のため発言を認められず。
9日(水)、10日(木):補足質問、無所属のため個人質問として答弁を含めて27分。

Ⅰ、3月条例予算特別委員会個人質問
2005年3月7日(月)~28日(月)
 無所属であるため代表質問及び補足質問が出来ない。しかし、抗議をした結果、昨年より個人質問として答弁を含めて27分の時間を得ることが出来た。
3月10日(木):個人質問
 今回は福岡市市民公益活動推進条例案と人工島に搬入された汚染土壌についての質問をした
1、福岡市市民公益活動推進条例案について
 福岡市市民公益活動推進条例は市民および市民公益活動団体が相互に連携し、市と共働し、主体的に街づくりを行うとしている。趣旨については理解できるが、条例のあり方について問題があると考え質問をした。
 条例で規定する市民公益活動は、そもそも市民が自発的、主体的に行うものであり、どうして市民の役割、市民公益団体の役割、NPO、ボランティアの役割、学校の役割を条例で規定しないといけないのか、特に、自治組織について「自立的経営を目指すこと」とは一体何を意味するのか質問した。
 公益という言葉は辞書では「国家ないし公共の利益」となっており、言葉には多様な価値観と歴史的背景があり、条例の文脈がその内容を示すことになる。市民及び市民活動組織の役割を条例で規定することは、公権力の意思を含むことになるのではないかと危惧される。お互いの役割を認めながら一緒に街づくりをすることを否定するものではないが、この条例は結果として、どのような理由であれ市の施策に協力しない市民は悪い市民と言うことになりかねない。このことは健全な市民活動を阻害することになるのではないかと危惧する。市と市民又は市民公益活動組織との対等なパートナーシップを形成するためには、条例で役割を規定するべきでなく、目的と目的達成のために市がなすべきことだけを条例化するにとどめるべきと質問した。
 副市長は見解の相違であるが、理念を述べたものであり、より多くの市民が参加しやすい環境作りを目的としていると答えた。見解の相違ではなく、この条例が最も問題なことは、本来自発的活動であるものを条例で規定することで、憲法で保障されている内心の自由を侵すおそれがあることである。また、「市民と行政との協働」という言葉の陰に、本来市がすべきことを市民に肩代わりさせようという意図も見受けられる。
 
2、土壌汚染問題について
 海洋汚染防止法の基準は土壌汚染対策法の基準より10倍基準が甘い。そのため、人工島に搬入された残土が海洋汚染防止法の基準を下回っていても、埋立地が宅地などに使用される場合は土壌汚染対策法が適用されることになる。これまで海洋汚染防止法の基準を満たしているので問題ないとしてきたが、土壌汚染対策法の基準を上回る鉛、ヒ素が検出されていたことがわかった。土壌汚染対策法施行後も、平成15年度に公共残土39万3千立方メートル受け入れ、土壌汚染対策法の基準を超えたものが外環境共同溝工事、香椎操車場跡地から約2万立方メートル、平成16年度は全体で6万2千立方メートル、そのうち土壌汚染対策法の基準を超えたものが平成17年3月3月4日時点で外環共同溝工事、香椎操車場跡地、御笠川から約8千立法メートル人工島に持ち込まれている。港湾局は海上汚染防止法の基準以内であるので問題ないとしている。しかし、環境省は浚渫土砂と陸上から出された土砂については扱いを分けて考えるべきとしており、通達や告示を見ると、汚染がされた土壌については指定区域の土壌でなくても指定地区から搬出される汚染土壌と同様の扱いをすることが望ましいとなっている。人工島に持ち込まれた土砂の調査と香椎操車場跡地からの搬出残土については廃棄物処理法に基づく最終処分場等に搬出するなど適正な処理、香椎副都心として再開発される土地であることから土壌調査を求めて質問した。
 市は繰り返し埋立地なので海洋汚染防止法の基準内なので問題ない、また、人工島については専門家による調査委員会を設置して調査することにしている、香椎操車場跡地については鉄道運輸機構が調査をしており、速報値では土壌汚染対策法に基準を超える鉛などは検出されていないので、土砂を搬入しても問題ないと答えた。鉄道運輸機構が調査した場所は香椎操車場跡地の南半分であり、鉛が検出された北側の調査については調査するのか明確には答えなかった。
そもそも、土壌汚染防止法における溶出検査の試料液はぺーハー5.8以上6.3以下となっており、酸性雨のぺーハーは5以下であり、日本の試験のあり方が甘いと言われている。住宅や、学校、大規模公園、さらに病院まで移転させようとしているところに、土捨て場のように御笠川の浚渫土砂や、ゴルフ場の土砂、操車場跡地の土砂など搬入することが問題である。香椎ゴルフ場アリーナからの搬入土砂は鉛が土壌汚染対策法の基準を上回っているだけでなく、PCBは溶出試験では検出限界以下であるが、成分分析では0.010mg/kg、0.008mg/kg、0.005mg/kg検出しており、微量でも長期に亘り摂取すれば健康上に問題が生じるおそれがある。また、胎児や幼児などが最も影響が受けやすく、成人の基準で考えるのは問題であり、「慎重なる回避」をすべきである。安全性を鑑みて、香椎副都心の残土や御笠川の浚渫土砂など土壌汚染のおそれがある土砂の受け入れはやめるべきありる。また、当初人工島への残土受入量が30万立米とされていたものが今や182万立米となっており、盛り土と言うことで360万立米以上搬入されている。土捨て場と化した人工島についての所見及び安全性についての市長の所感を求めたが、副市長は繰り返し海洋汚染防止法の基準を満たしているので問題ないこと、人工島については専門家による調査をするということで適切に対応すると答えた。

■他会派の補足質問から
1)赤潮による博多湾内の業業被害
 今年度、博多湾では長期に亘り赤潮が発生し、多額の漁業被害がでている。原因は直接的には海水温度の上昇によるプランクトンの大量発生ということであるが、その背景には人工島をはじめとする戦後の埋立による博多湾の海水の交換が悪くなっていること、また人口急増による博多湾の富栄養化がある。特に人工島建設が始まり、航路浚渫等により海水の濁りがワカメに致命的打撃を与えていることが既に明らかである。志賀島の内湾部におけるサザエやアワビの漁獲にも大きな影響が出ている。浅海域の埋立は、藻場を失い魚介類の産卵と稚魚の養育を妨げ、カレー、シャコ漁などが激減している。今回の赤潮はこの状況に、地球温暖化による追い打ちを掛けたものと考えられる。
 被害の状況
 ①平成13年2件の赤潮、フグ 20万円
 ②平静16年5件の赤潮発生、3件漁業被害
  3月  弘、志賀島     天然ワカメ 700万円
  7月  能古        アサリ 1100万円
 11月  弘、志賀島、唐泊  養殖ワカメ、4700万
 ③その他
      姪の浜 ノリ、被害未定
唐泊 カキ 被害未定
いけすのスズキ、アワビなども160万円

1)ホームレス対策について
 福岡市のホームレス対策が、NPOだよりの貧弱な状況が明らかになった。国のホームレス特措法に措置が求められている自立支援センターも設置いない。福岡市予算はわずか1204万円、ほとんど全てがNPOへの補助金であり、、NPO頼りの実態が明らかになった。隣の北九州市、ホームレス450人程度 自立支援センター設置し、別途1億円の予算をつけている。福岡市はホームレスは600人を超えており、他政令市で最も少ない京都市で約8千万円余であり、極端に少ない。人工島事業のしわ寄せがさまざまなところにきている一つの例である。

Ⅱ、3月議会予算特別委員会分科会
11日(金)~15日(金)
1)11日(金)、14日(月):都市整備局所管
 予算案及び議案の説明後、質疑をした。一般会計における予算の特徴は天神地下街拡張事業の終了等により事業費が減っていること、九州新幹線が平成24年開通に向けて博多駅の改装にともなう補助金40億7700万円、地下街株式会社に対する出資金8億円(次年度も同額の増資)、渡辺通駅北土地区画整理事業が始まり設計費等5千万円、人工島の中央公園の工事費29億9400万円などである。
 議案としては、公園管理を指定管理者制度導入にともなう条例改正案、及び霊園を市直轄にすることが出された。公園の内、友泉亭公園、永楽園、月隈北緑地パークゴルフ場については公募とし、舞鶴公園、雁ノ巣レクレーションセンターなど残り大規模公園、運動公園の管理は当面森とみどりのまちづくり協会を指定管理者とすることにしている。街区公園や区管理の公園についてはこれまで通り市が直轄して管理する。霊園については事業見直しを行い、森とみどりのまちづくり協会へ委託するほどの事業でないことから、直轄化した。指定管理者制度については、市民へのサービス低下がないことが求められた。また、指定管理者の系列への管理業務が偏るのではないかと懸念が出された。
 私からは、地下鉄七隈線開通にともなう沿線における良好な市街地形成に関連して2点の質問をした。第一点は、開通後の利用者が極めて少ないことに関し、西鉄バスとの交通結節機能を高めるための協議の必要性、またコミュニティバスの運行の検討を求めた。橋本駅に新路線を作るなど西鉄との協議がされているということであるが、通勤時における利用については乗り換えは時間的・経済的な観点から難しいことが実態としてある。博多駅につながっていないことも少ない原因でもある。七隈線を活かすためにはコミュニティバスなど地域密着のシステム等検討が必要である。
 二点目は野芥地域交流センターについて、進捗状況を尋ねた。市としては民間施設に間借りする方針であり、まだ地権者との協議は進んでないと言うことで、時期については不透明な状況である。地域では子どもが居られる場所づくりとして期待が大きく、出来るだけ早く実現するよう求めた。
 次に、「新・福岡都心構想」について、渡辺通駅北土地区画整理事業との一体的な検討を求めた。「新・福岡都心構想」は、天神、呉服町、博多駅、渡辺通りをむすぶ福岡市の中心部を魅力ある都市にするための事業構想である。渡辺通駅北土地区画整理事業がこの構想とは別々に進めば、つぎはぎだらけのものとなり、都市の魅了は大きく低下する。サンセルコの見直しもこの構想の中で進めるようもと止めた。サンセルコは1~4階の商業施設・事業所141ヶ所の内40ヶ所が空き店舗となっている。6、7階のFBSは地上デジタル放送を始めるため3月で退去する。その後は東急不動産が継承することになっていると言うことであるが、見直しが急がれている。サンセルコビルだけの見直しでは再生は難しいと考えられ、柳橋市場などを含めた面的な再生計画が必要である。また、交通結節機能を持たせるなど人の流れを創る必要がある。「新・福岡都心構想」の中で位置づけることを求めた。また、市街地再開発事業特別会計における第三セクターのサンセルコビル管理に対する補助についてはやめるよう求めた。市としても昭和57年以来集客対策、空き店舗対策などの目的で補助をしてきたが、止めることを検討すると答えている。
 駅のバリアフリー化の現状について尋ねた。JR及び西鉄大牟田線沿線駅13駅を対象としており、利用者が多い駅等を重点的として6駅を先に整備することにしている。そのうちJR香椎駅、西鉄雑餉隈駅、大橋駅が昨年終わり、今年度は西鉄高宮など3駅を整備するとしている。残りのJR竹下駅、九産大前、下山門、今宿駅などは1,2年後に取りかかるとしている。
 香椎駅周辺土地区画整理について尋ねた。進捗状況は24%、公共減歩用地の先行取得は終わり、減歩率は10%台となり、住民にはいい印象を持たれていると答えている。住民との協議については昨年説明会を5日行い、93%の住民が参加、協力的であるという。現在18年度からの換地について個別面談が求められており、個別面談を進めるという。反対していた人たちの組織的な動きはなくなっていると答えている。反対運動は、土地区画整理事業における減歩の問題を提起している。駅前整備のあり方として、地価下落が続く中でかってのように市民の負担が軽くなることはなく、公的資金で進めるべきことを意見として述べた。
 香椎副都心について、個人質疑でも質問したが、操車場跡地から人工島に搬出した土砂の内、西鉄千早駅近くの地点の土砂は土壌汚染対策法の基準を超える鉛が検出されている。都市整備局は近隣の井戸からも鉛は検出されておらず、海洋汚染防止法の基準以内なので問題ないとしている。金属の地下水汚染は広がるのに時間がかかるため、近隣の井戸から検出されて居ないことが必ずしも鉛汚染がないとは断定できないことを、3月4日の土壌汚染調査専門委員会の場で市は説明している。環境省の通達では、指定区域(福岡市は政令市なので市長が指定する地域)外から汚染土壌を搬出するときにも、土壌汚染対策法と同じようにすべきとなっており、香椎操車場跡地の土壌検査を求めた。しかし、鉄道・運輸機構(旧国鉄清算事業団)が現在調査をしているのでそれを見て判断したいと答えた。ところが、鉄道・運輸機構が現在行っている調査地点はJR千早駅より南の地域であり、汚染土壌が搬出された福岡市が公園等予定している北側ではない。鉄道・運輸機構へ北側部分の調査を行わせるよう求めた。
 公園整備に関連し、「冒険遊び場広場」の市民活動に対しての支援を求めた。市は西南の杜公園で場所の提供をしており、今後も支援していくことを表明した。 
 公園整備の状況についての質問があった。都市整備強として、公園管理の見直しで2500万円予算を削減しており、その内容の質問があった。公園管理課は、トイレの掃除の階数を減らす、花壇の球根を宿年草にして植え替えをしなくてすむようにする、また植え替えの回数を減らすなど、市民の美観に絶えうる範囲で経費節減に努めたと答えている。ところが、人工島では今年も中央公園整備に29億円の予算が組まれており、人工島に予算の一極集中がなされている実態が浮き彫りとなった。
 緑化フェアーに関連し、チケット販売の状況について質問が出された。市の目標は入場者100万人、前売り券を70万枚としている。そのうち、10万枚を実行委員会で、60万枚を福岡市が売ることになっている。市は62%にあたる42万5千枚を委託先に預けており、そのうち入金済みが6万2千枚、予約が17万8千枚であると言っている。残り半年の状況で厳しい状況である。市としては「よかトピア」のように地域や企業への強制的な割り当てはしていないと言っている。

2)3月15日(火)、16日(水):建築局所管
 予算案及び議案の説明後、質疑になった。一般会計予算の特徴は、国の「三位一体の改革」により市営住宅家賃補助金の12億円が所得譲与税として税源移譲されたため、歳入において国庫補助金が削減されている。建築局予算削減額17億円の大きな原資となっている。
 議案は市営住宅に管理について指定管理者制度を導入するための条例改正案である。市は当面(3年間)福岡市住宅供給公社を指定管理者とするが、将来は民間参入も検討するという。指定管理者への委託範囲については市住宅供給公社に委託している内容であり協定で細かく規定するが、入居者の権利を制限すること、市が権限を有するものついては市が行う。今後のあり方については9月議会に提案するということである。
 指定管理者の指定については、国は団地毎の指定をすることは出来るとしているが、市としては一体的な管理を考えている。ただし、民間事業者についてはノウハウがないため、暫定的に一部団地の指定管理者を民間事業者に指定して試行するとしており、将来的には全面的に民間事業者に移行する考えであることを明らかにした。他政令市では仙台市が市住宅供給公社を指定管理者に指定することにしているが、他都市はまだ決めていないという。ここでも、指定管理者を民間にすることで、過剰な経費節減などによるサービスの低下の懸念が指摘された。住宅福祉の考えからすると、直営もしくは市住宅供給公社を指定管理者にすることが妥当という意見に私も賛同する。
 建築局おける大きな問題は、国の公的住宅新規着工を抑制する政策を受けて、05年度は市営住宅の新規着工はない。市営住宅入居の抽選競争率19倍という現状で、安価で良質の公的住宅が求められており、市営住宅を増やす手だてとして新規着工が出来なければ他都市の例のように、民間住宅を借り上げて市営住宅にすることも検討することを求めた。
 また建て替え事業、ストック総合改善事業についても、補助金が削減されていることから計画が遅れている。厳しい財政状況の中で、市全体の建築物に対するアセットマネージメントが進められており、平成13年度から行われているストック総合改善事業及び住宅5カ年計画の見直しが連動して進められることになる。
 高齢者住宅として平成15年度から始まった高齢者向け優良賃貸住宅制度について質問音があり、民間事業者の参入が少ない状況について、制度が周知されていないことや入居までの時間がかかることもあり、いまいち人気がないとのことであるが、制度のアピールをすると答えている。
 高齢者施策としてある「高齢者入居者に対する身元引き受け業務」について質問をした。福岡市の制度は社会福祉協議会が窓口となり、見守りサービスは月500円、死亡時の葬祭資金の預託30万円となっている。利用実績は初年度の平成15年度は1名、16年度は14名、累計15名となっている。見守りサービスのみの利用者は7名、見守りサービスと相殺預託の利用者は8名となっている。利用者が少ないので、制度の紹介と利用料金についての検討も求めた。
 東京都は見守りサービスで年会費5万円という。他都市の事例として、川崎市、横浜市、千代田区が入居時の債務保証を行っており、家賃の35%、2年間となっている。国の制度として高齢者の債務保証の制度はある。福岡市においても債務保証の検討を求めた。
 川崎市では、障害者や外国籍の人にも身元引き受け制度を実施しており、福岡市でも障害者や外国籍の人に対する身元引き受け制度を実施するよう求めた。市として検討すると答えている。
 人工島における住宅市街地総合整備事業について質問した。住宅市街地総合整備事業は、まとまった住宅建設を行うときに良質な市街地形成のために出される国の補助制度である。平成17年度は103700万円余予算化されており、そのうち人工島には約8億円、野多目地区には2億円となっている。人工島の対象は270戸、野多目の対象は212戸となっており、人工島に重点的に出されることになっている。市は野多目地区は既に整備がある程度済んでいること、リボンシティオ、マリナタウンなど過去の助成は1戸当たりへ金340万円程度であり、人工島は1戸当たり320万程度でやや少なくなっていると答えている。しかし、住宅関連の補助が削減され、新規の市営住宅が建てられないことや建て替えや改築が遅れていることを考えると、住宅市街地総合整備事業のあり方が見直されるべきである。
 安全安心行動計画の推進事業の中で、既存建築物の違反対策について尋ねた。既存建築物の違反対策は雑居ビルの火災防止対策で、定期報告についてチェックし、報告がない建築物について消防局と連携して現地調査し指導するというものである。報告されているところについても現場確認をするよう求めた。また、民間における耐震補強についての現状を尋ねた。昭和56年に法改正がされ、それ以前の建築物である対象は全体の4分の1である。昨年の耐震補強の実績は5件である。国の補助制度もあり、国のパンフレットを使い啓発を進めているという。キチンと取り組むことを求めた。(この報告を書いた2日後に福岡県地震が起こった。当局は地震が起こるとは考えておらず、答弁にも緊張感がないものであった。)

3)3月17日(木)、18日(金):消防局
 予算案及び議案として防災センターを指定管理者制度に移行の条例改正案、法改正にともなう危険物の規制等に関する手数料条例の一部改正、福岡市防火条例改正案である。
 消防局予算の特徴は、AED(自動体外式除細動器)を32台の消防車と2台のヘリコプターに設置することで、救急車が到着するまでの救命率を高めるというものである。マター救急救命士の業務拡大(気管支挿管、薬剤投与)に対応した研修と、待機中に病院で研修を受け、重体の事態が生じた時は医師と一緒に出動する「救急ワークステーション方式」を実施することである。
 新宿歌舞伎町の火災で多くの死者が出たことから、雑居ビル等防火対象物の設備状況についての報告が義務づけられているが、昨年の状況は1352件の内394件しか報告がなく、各消防署で督促をしている。制度が新しいこともあり、全国の状況も似たような状況ということである。防火対象物の査察状況は、平成15年度は4900ヶ所の内14000ヶ所が実施された。市ではホテル・百貨店は年1度、倉庫等は3年に1度、事務所等は5年に1度の基準で査察している。福岡市の査察の要員は法廷数では104人になっているが、61名しか配置されていないことが指摘された。市は南消防署に違反処理担当主査を2名配置し、査察強化をしていると答えた。
 北九州で不要な救急車使用が増えていることが報道されていたが、福岡市の状況が問われた。福岡市でもこの間5~8%で増えていたが、昨年は初めて22件減少した。ポスターなどでの呼びかけが功を奏したと考えられるということであるが、市民への啓発以外に有効な手だてがないのが現状である。
 防災センターを指定管理者制度導入について、防災協会がこれまで消防局と一体で市民啓発党にと取り組んできた経過があり、また専門知識の必要性など一般的に公募すべき対象ではないのではないかと質問した。当局も人命にかかわる事業をしており、指定管理者には当面防災協会を指定する考えを示した。私は、むしろ防災センターは市直営にすべきと主張したが、防災協会との分担でうまく運営されており、指定管理者として指定する旨が答えられた。
 福岡市防火条例改正は、この間火災による人命、特に高齢者の人命が奪われることが増えていることから法が改正され、全ての寝室及び寝室からの階段、マンション等では通路にも火災警報機を設置することが義務づけられたことによる条例改正である。新築は平成18年6月1日から、既存住宅は平成21年6月1日から適用される。費用は電池式で1個4千円程度、コード式で1万2千円程度、量産されればもう少しは安くなると思われる。量販店でも売られるということである。違反しても罰則がないため、普及させるためには、不動産業界やマンション管理組合などの協力が必要ではにかと意見を述べた。高齢者や障害者、低所得者への補助、また悪質業者に対する対策等が求められた。
 

Ⅲ、総会質疑
 3月20日(日)の福岡県西方沖地震の対応ため、22日(月)~24日(日)の総会質疑は、22日を休会として23日、24日の2日にした。

3月24日(木):ごみ処理有料化について質問
 平成14年度の一人1日当たりのごみ排出量は全国平均で1100g、福岡市は1400g、名古屋市は907gである。同じく平成14年度の1日一人当たり資源回収量は名古屋市は272g、福岡市は65gである。その違いはどこにあるのか質問した。市は相変わらず名古屋市が緊急事態であったためごみ減量に努力したとしか答えず、家庭での容器包装を資源として分別収集していることにはふれない。容器包装は法律では資源として回収するようになっているが、福岡市はお金がかかることから全て燃やしている。この違いが、市民意識の違いとしてごみ排出量に反映している。
 名古屋市民は容器包装を家庭で分別することで学習し、ごみになるものは買わない、集団回収に積極的に資源ごみを出すなど、市民による資源回収がなされている。ところが福岡市は燃えないごみとして集めたものを破砕センターで鉄・アルミを回収することに重点を置いているため、市民にはごみ問題が見えない構造になっている。
 また、佐世保市はごみ処理有料化を始めたが、市民が1年間排出する平均量は無料にし、それを超えたものは有料にする仕組みで実施した。自治法227条に「特別な者のためにするものにつき、手数料を徴収することが出来る」という「特別な者のためにする事務」について、昭和24年3月24日当時の自治省自治課長の「『特定の個人のためにする事務』とは、一個人の要求に基づき主としてその個人の利益のために行う事務(身分証明、印鑑証明、公募閲覧等)の意であり、その事務は一個人の利益又は行為(作為、不作為)のため必要となったものであることを必要とし、もっぱら地方公共団体自身の行政上の必要のためにする事務については、手数料は徴収できない」と回答しており、その解釈は今日も変わっていないことを確認した。このことから、ごみ処理有料化するとすれば、佐世保市方式が適法であり、かつごみ減量にインセンティブが働くのである。
 しかし福岡市は繰り返し排出者としての市民の責任があり、排出量を特定できるから手数料は取れると言っている。ごみは誰でも出すものであり、行政の基礎的な事務である。ごみを減らすためにはごみになるものはつくらない、そのために拡大生産者責任を明確にし、事業者に廃棄物を回収させる仕組みを作ることである。容器包装リサイクル法さえ守らない福岡市がどうして拡大生産者責任を問えるのか、また家庭での容器包装の分別をしなくて市民意識を変えることが出来るのか、相変わらず過大な焼却場建設を続け焼却主義を進めている福岡市のごみ政策が間違っている。これではごみは減らない。

Ⅳ、25日(金):意見開陳
 地震の復旧作業を考慮し、反対討論にて意見を述べることにした。

Ⅴ、28日(月):予算及び議案について討論、採決
反対討論
 私は今議会に上程された諸議案の内、議案第41号ないし44号、46号、48号、53号、54号、56号、59号、60号、62号、70号ないし85号、87号、100号、101号、103号ないし105号、107号、108号、111号、125号、126号、131号、137号、141号、146号、149号、153号、157号、158号、164号、166号、167号、170号、171号に反対して討論します。
 まず、今回の地震被災者の皆さまにお見舞い申し上げますとともになくなられた方のご冥福をお祈りいたします。市職員の皆様方のご奮闘と多くの市民ボランテアの方のご支援に敬意を表します。被災者の方々が一日も早く安心して日常生活に戻ることが出来ますよう、福岡市の充分なる被災者支援を求めます。
 今回の地震は震度6弱という大地震の割りには甚大な被害を被ることを避けることが出来ました。好運ににも直下型地震でなかったこと、断層の横ずれによる地震であったことが津波を起こさなかったこと、休日の昼食時よりも前であったことなどが被害を少なくしたものと考えられます。しかし、市内中心部には警固断層が走っており、いつまた再び地震が起こるか分かりません。警固断層が動けば、今回の被害とは比べものにならない大災害になる可能性が高いと考えられ、直下型地震を想定した地震対策を行う必要があります。そのためにも、後日災害復旧に区切りがついた時点には、今回の地震への対応について点検すべきと考えています。
 国と地方の借金は平成17年度末で774兆円と見積もられ、税収の12年分の借金となり、膨らみ続ける借金状況は普通の家庭であれば自己破産の状況です。福岡市の財政状況も破綻の瀬戸際にきています。国の三位一体の改革により今年度も57億円の交付税が削減されました。今後も奨励的な補助金は削減され、また交付税の削減も行われます。予算作成当初の72億円の歳入不足を解消するため、財政調整基金15億円、市債管理基金40億円、その他基金47億円7千万円、外郭団体から15億5千万円、計118億3千万円を基金から取り崩し、局予算制による経費削減でかろうじてやりくりが出来た状況です。財政局の18年度以降3年間の中期見通しでも18年度95億円、19年度112億円、20年度134億円の歳入不足が見込まれており、財政調整基金をはじめ、その他の基金も底をつき始めており、極めて厳しい状況が続くことになります。また、市債発行残高は平成17年度予算2兆6806億円、平成16年度の2兆7254億円よりも約400億円減っていますが、償還の関係で一時的に減ったに過ぎず、今後も市債残高は増えると考えられます。
 景気回復の兆しがあるといわれていますが、一部大手企業中心であり、中小企業の状況は依然厳しい状況です。失業率も改善されたとはいえ4.7%、若年層だけを見ると9.5%と相変わらず高水準の状況です。労働者全体の賃金は低下しており、定率減税の廃止、介護保険や医療費、年金のどの負担増と市民生活は一段と厳しくなっています。税収は伸び悩む一方、社会的経費が膨らむ状況が続いています。加えて、今回の地震による災害復旧及び今後の災害対策の充実を図るためには多くの経費をともなうことになります。そのような状況下でどこに優先的に税金を投じるのか、改めて厳しく問われています。
 そこで、今回特にごみ処理有料化と人工島に関して述べます。
 まずごみ有料化についてです。ごみ処理有料化によってごみ減量が進まないことは他都市の事例を見ても明らかです。ごみ減量にはごみになる物は使わない作らないことが何より大事であることは言うまでもありません。ではどのようにするのか、まずは拡大生産者責任を明確にする法の改正と、私たちの生活スタイルを変えることです。名古屋市では国際的に重要な湿地である藤前干潟を残すために、最終処分場建設を中止するという市長の英断で、市及び市民が一体となってごみ減量に取り組みました。その結果、2年間で20%のごみを減らすことが出来ました。ではどのようにしてごみが減らせたのか。名古屋市はこれまで部分的にしか実施していなかったビンカン類の分別収集を全市に広めたこと、そして最も有効であったのは容器包装を家庭で分別収集して資源化したことです。これにより直接的に焼却量が減ったばかりでなく、市民の意識が変わり、集団回収が増え、ごみになるものは買わないなどの生活意識に大きな変化が起こったのです。容器包装を自ら分別する作業を通じて学習がなされた結果、ごみの全体量が減ったと言われています。名古屋市ではごみ処理有料化をしないばかりか、さらにごみを20%削減する行動目標を立て、生ゴミ処理の実験も始めています。名古屋市の事例と福岡市を比べればその違いは一目瞭然です。福岡市は市民の意識をどのように変えるのか、また拡大生産者責任をどのように問うていくのか、容器包装リサイクル法さえ守らなくてごみが減らせると考えているのか、福岡市のごみ政策が間違っていることは明らかです。そもそもごみ処理有料化は自治法違反であり、ごみ処理有料化とごみ減量は関係ないことは名古屋市の事例でも明らかです。いまだ焼却主義から転換できず、増税でしかないごみ処理有料化に反対します。
 次に人工島について述べます。厳しい財政において破綻が明らかな人工島にこれ以上税金をつぎ込むこと、また破綻している博多港開発救済のために多額の税金をつぎ込むことが許されるはずはありません。子ども病院と市立病院を統合し、人工島へ移転させることは、税金の無駄遣いであり、本末転倒です。日本経済の1割しかない九州経済を後背地に持つ博多港は、地政学的また地形的に見てハブ港湾になることは難しい上、中国をはじめとするアジアとの貿易が今後増えるとしても1万トン以下の船舶が増えるだけであり、大水深の岸壁は不要です。相変わらずバブルの発想で人工島に企業誘致を計画していますが、全国の埋立地の状況を見れば成功している例はありません。ATC、WTCの特定調停をせざるを得なかった大阪市コスモスクエアは、人工島の将来を暗示しています。住宅地についても、既に福岡市の住宅は世帯数を大幅に超えており、人工島に住宅を造る必要性はないのです。国立社会保障・人口問題研究所の中位推計でも2007年をピークに日本の人口は減少します。福岡市においても10年から15年後には減少に転じると考えられます。質的に見ても、少子高齢社会の進行は、高齢者が増え、住宅を必要とする若年層は減り、新たな住宅需要そのものが減ることになります。加えて、今回の地震でも明らかなように、埋立地は液状化現象が起きやすく、また地盤が弱いため揺れが激しく、病院や住宅地として適当ではありません。いま必要な住宅は、安価で良質な公営住宅です。
 そもそも、資源エネルギーに限界があること、地球環境に限界があることから、経済成長は無限に続くことは出来ません。昨年の度重なる大型台風の襲来、各地の集中豪雨、豪雪と地球温暖化による異常気象が私たちに警告を発しています。化石燃料の浪費による地球温暖化は限界に達しつつあり、経済の在り方・産業構造を変えること、私たちの生活のあり方を変えることが喫緊の課題となっています。従来のような経済成長を前提とした社会からの脱却を目指さなければいけません。
 持続可能な社会の実現に向けて、都市膨張政策を止め、都市の成長管理政策を進めなければなりません。経済成長に頼らなくても持続可能な社会を目指した政策が必要です。エネルギー浪費の経済構造、都市の構造から転換が必要です。環境保全型一次産業を再生させ、地場中小企業を育成し地域で循環する経済構造を作る必要があります。福祉・教育にもっと財政を投入するなど、人工島建設など大規模開発に傾斜する財政構造から転換すべきです。若者が安心して子供を産み育てることが出来るまちづくりこそが福岡市を活性化するのであり、そのためには安価な良質の住宅の保障と子育て支援、福祉・教育の充実、そして仕事があることです。しかし、人工島に無駄な税金をつぎ込んでいては実現できません。
 ところが、山崎市長は相変わらず人工島に重点的に財政を投入し、ごみ処理有料化をはじめ、下水道料金の値上げ、市立高校授業料の値上げ、保育園の民営化、さまざまな使用料の値上げなど市民に多くの負担を求めています。市長は本当に市民生活を守る考えがあるのか疑わざるを得ません。
 以上のことから、人工島建設は直ちに中止、安心して暮らせるまちづくりを目指して、政策転換することを求めて反対討論を終わります。