福岡市がこども病院PFI方式の見直しー利権が見え隠れする

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 先日の報道で、福岡市はこども病院のPFI方式について対象を縮小するなどの見直しをするため、6月議会に議案提出を延期したとしています。近江八幡市など各地の病院事業におけるPFI方式に問題が起きていることを理由にしています。病院事業におけるPFIでは、医療は市が行い直接の医療以外の事業およびサービスはPFIのSPC(特別目的会社)に委託します。医療収入SPCへの委託料は定額で支払われるため、病院経営が赤字でもSPCは黒字になります。このことが近江八幡市でも問題となりました。医療センターにおけるPFIはリスク分担ができないと言うことはPFI発祥のイギリスの国会でも問題となっています。
 本来PFIは民間のノウハウを導入して経営を効率化させ、事業を黒字にすることを目的としています。ところが、病院事業においては医療行為は委託できないため一体的な経営が出来ません。医療以外のサービスはSPCに一括して委託するため、医療収入に合わせたサービス提供の変更ができないためです。
 福岡市に於いて、と諸計画でPFI欲しきで行うと85億円の節約になるとしてきましたが、その根拠は定かではありません。更に、PFI方式なのになぜ毎年17億円の赤字になるのか、一般会計からの繰り入れ12億円を入れると実質30億円の赤字になるの不思議です。そもそもこんな計画が認められるのでしょうか。個々にはSPCに参加する企業の利権が見えてきます。決して損はしない、まさに濡れ手で粟の世界です。こども病院の建設費3860万円/㎡、通常の病院建設費1600万円/㎡の2倍以上、異常にに高い病院建設費は、建設会社やSPCにとってはおいしい話しです。そのツケは市民が払わされます。
 今回何故PFIが見直されるようになったのでしょうか。毎年30億円の赤字を解消するためではなさそうです。こども病院が人工島に移転すると外来患者が増えるという福岡市のずさんな計画に、さすがの利権をかぎ分ける企業もリスクを感じたからではないでしょうか。
 こども病院を人工島に移転させれば、PFIでなくても巨大な赤字構造は変わりありません。市民に大きな負担が強いられます。財政的問題から見ても、PFIは当然やめるべきであり、こども病院の人工島移転そのものを撤回し、抜本的見直しが必要です。