福岡市の新聞広告費200万円について住民監査請求

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 11月27日(金)に福岡市が西日本新聞に掲載した広告費200万円について、12月24日(金)に住民監査請求をしました。以下、請求分です。

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福岡市職員措置請求書
福岡市長措置請求の要旨
1)請求の要旨
 11月27日の西日本新聞に、こども病院の人工島移転を前提・助長する「福岡市新こども病院2014年春、開院」と題する「福岡市政PR広告」記事が掲載されました。そして、下記の経過で福岡市が広告費用として市長室報道課予算から200万円を支出することが公文書公開で明らかになりました。
  9月28日 福岡市で合議書「新聞紙面購入による市政に関する広報について」(報道
課第49号)が起案され、報道課長が決裁しました。広告掲載の目的は「新
こども病院の充実する新たな機能等について周知を図るため」とされまし
た。同日、予定金額を200万円とする予算執行伺書が起案されました。
 10月 1日 福岡市と株式会社西新広福岡との間で「福岡市政PR広告」掲載を件名とする随意契約書が結ばれ、同日福岡市は所属を広報課とし、起票所属を報道課とする200万円の支出負担行為書(一般会計、総務費、総務管理費、広報広聴費、役務費)を作成し、同日報道課長が決裁しました。同契約書には「福岡市は支払い請求を受理した日から30日以内に支払うものとする。」と約されています。
 11月27日 西日本新聞の8~9ページに全面広告が掲載され、内10段2ページの紙幅で「福岡市政PR広告」が掲載され、同日中に完了報告書が株式会社西新広福岡から福岡市に回付され、報道課が検査し課長決裁が行なわれました。
 以上の経過から、現在は福岡市の不当・違法な公金の支出が予想される地方自治法第
242条の「契約の締約若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担があると認める」状態にあります。 
 上記の掲載された意見広告は次の理由などによって不当・違法ですので、福岡市職員福岡市長に当該広告費支出執行を停止させる措置を請求します。支払い済みとなった場合は、福岡市職員福岡市長に当該費用を市の経済に戻させる措置を請求します。
理由
① 広告は移転反対の意見を押さえつけようとしています。
こども病院の人工島への移転については多くの患者とその家族、医師、弁護士そして市民が反対しています。多くの市民は見直しを求めています。吉田市長もこども病院の人工島移転見直しを公約して市長選挙に当選・就任しました。建物・経営などこども病院の多くが定まっていない今、引返すことが出来ます。やり直すことができます。
こうした状況のなかで、意見広告を掲載した狙いは、人工島への移転があたかも変更できない既定の政策であるかのような印象を市民に与えることにあるといえます。既成事実を強行に積み重ね、民意に反し、抗議の声を押さえつける効果を有する広告に市費を支出するのは不当です。
② 広告は1.5倍水増見積など人工島への移転決定過程の疑惑を隠しています。
人工島への移転決定過程には問題点が数多く指摘されています。なかでも現在地建替費見積を1.5倍に水増し人工島への移転を方向付けた経緯は市民と市議会を欺罔したものでした。福岡市は移転決定の根拠公文書として保存されるべきゼネコン3社からの聴き取りメモを破棄し積算データは消去したのです。福岡市はいまだに移転根拠とされた見積の水増の詳細を市民に示さず、市長は説明責任を果たしていません。市議会では移転の根拠積算が明示されないまま、土地取得議案が議決されました。以上のように福岡市長が市民と市議会への説明責任を果たしていない人工島への移転は不当・違法であり、憲法31条の適正手続きの要請に違反します。移転を前提・助長する同広告への市費支出は不当・違法です。
③ 広告主は福岡市。なのに、隠して責任逃れをしています。
この意見広告、紙面上は「西日本新聞社広告局の企画・制作」となっています。しかし、福岡市内部資料と西日本新聞社での聴き取りによって、福岡市の依頼による福岡市の広告であることが明らになっています。内部資料には「新聞紙面の購入による市政に関する広報(広告掲載)」と「新こども病院の充実する新たな機能について周知を図るため」と明記された市費支出伺いが起案・決裁されています。福岡市の広告であることを紙面に明記しなかったことは福岡市の掲載責任を隠蔽する偽装であり、市民への説明責任を故意に回避し意図的に世論形成する悪質な性格を有しており、市民を欺く背信行為であり地方自治法第138条の2(執行機関の義務)に違反します。かかる違法行為に市費を支出することは不当・違法です。
④ 5年も先の広告、既成事実で市民を幻惑させようとしています。
福岡市の行政工程においてさえ地方独立行政法人の手続き未了、PFI業者の未選定というように方向が定まっていない現状のなかで、どうして5年先となる「2014年春、開院」との広告を掲載し市費を投じるのでしょうか。既成事実を積み重ね、市民を幻惑しようとする悪質な意図さえ見受けられます。このような広告に市費を支出したのは不当です。
⑤ 「医療充実」は誰しも願うこと、でも、広告は医師の思いを正しく伝えていません。
9ページ目の医師達のご意見にあるように医療内容の充実は誰しもが願うことです。しかし、8ページ目はこども病院の人工島移転が前提の記事となっており、あたかも、医師たちも人工島への移転に賛成しているかのような錯覚を市民に与える広告になっています。
こども病院が人工島に移転することが問題であるのに、この大事なことがぼかされてしまっています。
西日本新聞で聴き取りの結果、今回の広告記事の編集にあたっては取材先の指定など福岡市が深く関っていることが判明しています。福岡市の広告への責任は大きいのですが、福岡地区小児科医会会長と福岡県産婦人科医会福岡ブロック会会長などからの聞取り記事が掲載され、これらの組織代表者のご意見があたかも当該組織の意見であるかのように掲載されています。これらの医師組織のなかには、こども病院の人工島移転に反対決議を挙げた組織があり、所属医師の多くが連名で移転反対を福岡市に申し入れています。西日本新聞社は「取材にあたって、記事内容が会長の個人的意見なのか、組織代表者としての意見なのか確認していない」と述べています。福岡市は広告主としてこの記事内容を敢えて検証しなかったのではないかとさえ思えます。このように福岡市の行政責任を放棄し、市民を欺き錯誤に落とし込める「福岡市政PR広告」に市費を支出するのは不当です。
⑥ 既に「市政だより」で紹介されたのに、広告は市費の無駄遣いです。
こども病院の人工島移転については、福岡市は既に市域全戸配布の「市政だより」に少なくとも2回、2009年の1月1日号と5月15日号で広報しています。今回の「福岡市政PR広告」は不要で無用な広告です。西日本新聞の福岡市内発行部数25万部ですが、これでは福岡市の69万世帯には行き渡りません。これでは公の広告にはならず、「福岡市政PR広告」は全く無駄な市費支出となります。
本件の広告支出は「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」と規定している地方財政法第4条に違反します。このような広告に市費を支出するのは不当・違法です。
2)福岡市に与える損害
 福岡市長が当該新聞広告に関して(株)西新広福岡と随意契約し、債務負担行為を成した金200万円が福岡市に与える損害です。
3)求める措置
福岡市職員福岡市長に(株)西新広福岡への広報広聴費予算200万円の支払いの執行停止させる措置を請求します。支払い済みとなった場合は、福岡市職員福岡市長に当該費用を市の経済に戻させる措置を請求します。
2 請求者 
  住所 福岡県福岡市東区奈多1丁目6番13号
  職業 無職
  氏名                             印          
  住所 福岡県福岡市早良区有田5丁目17番7号
  職業 会社役員
  氏名                             印
  住所 福岡県福岡市早良区室見2丁目3番6-601号 
  職業 無職
  氏名                             印

地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、必要な措置を請求します。

2009年12月24日
福岡市監査委員宛

別添
事実証明書
1.2009年11月27日付 西日本新聞朝刊
2.2009年12月1日 福岡市長への新聞広告費用についての問い質し 写し
3.2009年12月4日 1日の西日本新聞社での「聞き取り」備忘録 写し
4.2009年12月9日「公文書一部公開決定通知書」報道第67-001号抜粋 写し
5.2009年12月10日 12月1日問い質しへの市長回答 写し
6.ふくおか市政だより、2009年1月1日号、5月15日号 写し