他都市調査

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他都市調査
2013年1月30日(水)午前 新宿区
2013年1月30日(水)午後 渋谷区

1、新宿区
 目 的 多文化共生まちづくり会議条例について調査
 対応者 太田公一 多文化共生推進課長

1)新宿区の外国人の状況
 新宿の人口は2013年1月1日時点で321,172人、内外国人登録者は33,574人で、楽人の割合は10.5%、10人に一人は外国人である。国籍を見ると38.1%が中国。韓国または朝鮮の人は36.5%、これに次いでネパール、ミャンマーの方がそれぞれ1000人を超え、国籍数は118となっている。新宿の外国人特別永住者は新宿全体の4.7%で全国平均の18.7%に比較するとその構成はかなり低く、オールドカマーよりもニューカマーが多い。区内には専修学校や各種学校、日本語学校が多く、区内の早稲田大学も留学生を積極的に受け入れていることで、留学生が9,329人、27.8%と多い。留学などで滞在した後定住する人が多い。特にIT関係や料理関係が多い。

2)外国人が増えた背景
 中曽根内閣時代の1983年の「留学生受け入れ10万人計画」が出され、新宿内に日本語学校や専修学校が急増し、留学生が多く住み始めた。外国人の増加とともに外国料理店や母国の食材・生活雑貨を扱う店が増加した。また、留学生が卒業後国内に就職または起業するなど定住化が進んだ。また、「永住者」資格の要件が緩和されことにより、就労制限がない「永住者」資格取得者が増えた。新宿区の地勢的条件として、交通の便がよい、大きな繁華街があり収入が得られ易い、学校が近い、同じ国籍の意図が多く住み、母国の食材や生活雑貨が入手しやすいなど、外国人が住みやすい町になっていることがある。

3)条例作りへ
 区内の人口の10人に一人が外国人という状況を積極的にとらえ、多様性を生かした新たな都市の魅力の創出に踏み出した。従来の国際交流・支援という枠組みから外国人も参加するプラスメッセージを発信できる多文化社会の街づくりの取り組みにした。具体的には①多様な食文化等による来街者の増加、②外国人留学生が1/4を占めていることから20代の若者を地域の活力に結びつけ、将来は「高度外国人人材」供給として社会貢献、③多言語対応で外国時観光客の訪れやすい街を目指している。また地域の防災訓練アドでは楽人若者が参加している事例もあり、高齢化が進む中で地域の担い手にもなっている。
 この様な政策を積極的に進めるために、多文化共生推進かを設置し、多文化共生街づくり会議条例を制定した。この会議は平成24年9月1日に区長の附属機関として設置され、区長は積極的に参加し、実現できる制作に着手している。この会議は①外国にルーツを持つこどもの教育環境の向上について、②災害時における外国人支援の仕組みづくりについて、が諮問されている。

まとめ
 外国人住民が増える中で、従来の国際交流・支援から積極的に街づくりに生かしていく発想は重要である。新たに課としたことで役所内の認識も変わり、街づくりの視点が明確となり、日本人とが外国人との交流がより明確になり、地域社会の活性化のつながると感じた。

2、渋谷区
目 的 公契約条例についての調査
対応者 伴 秀樹 経理課長

1)公契約条例制定の経緯
 公契約条例は自治体が行う公共事業や業務委託契約などにおいて契約した事業者及びその下請け事業者の労働者の労働条件を守り、事業の質の向上と区民生活の安定を図るものである。渋谷区議会で平成20年10月に「公共工事における建築労働者の適正な労働条件の確保等に関する意見書」を国に提出。平成24年3月議会の質問に答えて区長が早期制定を表明、6月定例議会に条例案を提出し、32名の議員の内2名の反対で可決。反対理由は特に表明されていないが、条例の対象について工事請負契約だけでなく一般の委託契約等について拡大の意見があったが、区長は経緯を見て検討としている。

2)条例の仕組み
 ①対象労働者は受注者または下請けの雇用され、業務に従事するもの、及び受注者または下請け
  との請負契約をして業務に従事するもの(一人親方)

 ②対象は1億円以上の工事請負契約、その他区長が必要と認めたもの。

 ③労働者の賃金は渋谷区労働報酬審議会の意見に基づいた労働報酬下限額を下回っていけない。
  この額は国の定める公共工事設計ロム単価の各職種(51職種)の90%、その他前記に該当
  しない業務は生活保護基準額を勘案して時給916円。

 ④受注者の義務
 ・労働者等の氏名、職種、労働時間を記載した台帳の作成及び提出
 ・事業所での掲示等労働下限額等を労働者等に周知
 ・下請け者の賃金支払いついて連帯責任を負う

 ⑤条例違反者への措置
  労働者からの申し入れ→住駐車に報告/資料提出の要求、立ち入り調査→違反の場合は受注者
  へ是正命令→是正されない場合は契約解除・公表、損害賠償、違約金を取る

 ⑥渋谷区労働報酬審議会は労働報酬下限額及び施策について調査・審議する。7名で構成。学識
  者として区文化協会理事長、社会保険労務士、弁護士で地域の事情を翌理解指定人を選んでい
  る。事業者委員として区商工会議所からの推薦人一人、現役会社社長一人、労働者委員として
  連合から一人、区建設組合から一人の構成。

3)実施状況について
 条例が出来たばかりでこれから

まとめ
 経済状況が悪化し、下請け労働者へのしわ寄せが問題となっている。労働者の待遇を保障することは労働者の孤児のみならず地域社会の安定につながる。また過度な競争で工事の質の低下も懸念されており、この様な問題も払拭できると考えられる。福岡市においても下請け労働者の地銀三原問題など耳にすることがあり、また地域経済の活性化に向けても公共事業における労働者の待遇改善が必要である。今回の調査では工事請負についての条例であり、事務事業などの委託や第三セクターにおける請負契約を対象にしていないなどの課題が残っている。最低賃金の保障だけではなく、社会保険に加入の確認など課題はまだまだある。工事請負契約以外も対象としている野田市や川崎市への調査が必要。