日本軍真珠湾先制攻撃から80年を迎えて

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ふくおか緑の党代表 荒木龍昇

 本日12月8日は80年前日本軍がハワイ島真珠湾を奇襲攻撃し、日米戦争が始まった日です。国力を比較すれば無謀な戦争であることは、軍部を始め政府首脳部は把握してにもかかわらず、言論統制を行い、国民に真実を伝えずに日米戦争に踏切ました。

この日米戦争は、関東軍による1931年柳条湖張作霖爆殺と満州事変、1937年盧溝橋事件を機に日中戦争を拡大しました。日本の中国大陸侵略と米英等帝国主義国との利権争いの帰結でした。日中戦争は泥沼化し、資源不足に拍車を掛け、戦時経済体制による国民から収奪する中での戦争でした。追い詰められた軍部は日米戦争開戦と同時に資源獲得のためアジアを侵略し、英仏蘭との戦争へと突き進みました。この日本の侵略戦争はアジアの人々に2000万人以上の犠牲者を出し、日本の軍人・軍属230万人と民間人80万人、合わせて310万人の国民の命を奪い、敗戦となったのです。

 日中戦争が泥沼化するなかの日本国内では、世界恐慌からの立ち直れず貧困と格差が広がっていました。5.15事件、2,26事件と軍部によるクーデタ未遂事件がおこり、他方治安維持法による共産党を始め社会主義者、自由主義者や宗教団体が弾圧されました。軍部が天皇の統帥権を掲げて権力を掌握し、政党政治を解体し戦争政策を進めました。国民生活が疲弊する中で、国民は事実を知らされないまま、都合がよい真珠湾奇襲攻撃の戦果のみが広報され、多くの国民は戦争に熱狂し、軍国主義教育で子ども達も戦争に駆り立てられました。隣組が強制的につくられ相互監視体制を作り、草の根の戦争体制が作られました。

 私たちはこの戦争から何を学ぶべきなのでしょうか。軍部を中心とした全体主義者が、国民の知る権利を奪い、民主的な議論の場を奪い、権力による弾圧と政府に都合がよい情報だけを流し、世論操作をしてきました。また、国民は政府の情報操作に疑問を持たず、隣組による相互監視体制に疑問を持ちませんでした。このことから学ぶものは、戦争への道を断つためには、国民の知る権利が奪われないこと、権威主義に惑わされず政府の情報について批判的に検証すること、民主的な議論の場を失わないことといえます。隣組のような相互監視の草の根組織は民主的な議論の場を奪い、監視社会に繋がり、やがて戦争への道となります。

岸田総理大臣は6日の国会における所信表明において「我が国を取り巻く安全保障環境は、これまで以上に急速に厳しさを増しています。」とし、「いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、」と敵基地攻撃について前向きの発言をしています。中国脅威論、台湾危機をあおり、先制攻撃も辞さないとしています。いままさに戦争への瀬戸際に来ているといえます。

自公政権・日本維新の会は第2次安倍政権以降、特定秘密保護法強行採決、戦争法強行採決、共謀罪法強行採決、デジタル関連法強行採決、重要土地規制法強行採決と国民の知る権利を奪い、人権を侵害する悪法を強行採決を繰り替えし、民主的な議論の場を奪ってきました。更に緊急事態条項や自衛隊の明記など憲法改悪を目論み、民主主義は危機に瀕しています。憲法を変えなければできないことは戦争だけであり、「憲法改正」を議論すると言うことは戦争する国になると言うことです。軍部をはじめとする全体主義者による無謀な戦争に踏み込む真珠湾奇襲攻撃したこの日、私たちは80年前の状況と同じ立ち位置にいることを自覚しなければなりません。

私たちはアジア太平洋戦争に至る経緯を見つめ、民主主義を取り戻し、外交による平和主義を貫き、戦争がない地球・社会を目指します。気候危機が叫ばれていますが、戦争こそが最大の環境破壊であり最大の人権侵害です。ふくおか緑の党は日本に民主主義を取り戻し、平和主義をつらぬき持続可能な地球・社会を目指します。