またもや人工島に40億円の緊急融資

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 福岡市は博多港開発にまたもや40億円の緊急融資をすることに決めまた報道されました。破綻が明らかな人工島にこれ以上の公費投入を許すことは出来ません。今回も昨年5月に45億円の緊急融資したときと同じように、福岡市が人工島に計画外の指導を認定し、道路用地を購入したお金で、融資の返済をしてもらうというものです。さらに、市長の定例記者会見では、人工島の土地を証券化するという案も示されています。証券化しても、証券が売れる低価格になり(投資家が利益を期待できる価格になるため)、調達した資金が不足する結果、同じように税金を投入することになります。これ以上の税金の無駄遣いを許さないために、私たちは直ちに抗議することにしました。

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                                     2004年1月21日
博多港開発(株)への
    40億円の緊急融資中止を求める申し入れ

福岡市長 山崎広太郎様
                        人工島点検を点検する会
                        事務局長 中尾武史
                        博多湾の豊かな自然を
                         未来に伝える市民の会                                             代表 安東 毅
                    博多湾会議
                        事務局長 脇 義重
                        福岡市議会議員 荒木龍昇

 去る1月17日付報道によれば、福岡市は博多港開発(株)に40億円の緊急融資をすることに決めたとされています。その理由は、人工島の18ヘクタールの住宅開発において、分譲価格が予定していた1平方メートルあたり11万円~12万円からさらに4万円~5万円下回るために、事業資金が不足するおそれが出てきたためとしています。昨年5月に博多港開発(株)に対して45億円の緊急融資がなされたばかりです。今回の緊急融資についても、先回同様に福岡市が博多港開発から道路用地を買い取る代金で、博多港開発から福岡市へ40億円が返済される計画です。このことは、昨年度計画をし直した収支計画が破綻することを意味するものであり、今後も公費投入を続けることを意味します。いよいよ福岡市は泥沼に足を取られ、不要な人工島の土地を購入し続けることになります。山崎市長は「融資の理由が明らかなので理解は得られる」といっているようですが、果たして市民の理解が得られるのでしょうか。
 また、見方を変えれば、昨年の「照葉プロジェクト」の失敗の後始末のために、新たに公費を投入するもので、許されるものではありません。「照葉プロジェクト」を計画通り進めようとすれば、住宅販売価格は昨年度計画見直し時の価格の2倍ほどになり、宮崎監督が引いた今となってはとても実現困難の状況です。このような状況でなおかつ「照葉プロジェクト」を進めるためには、多額の公費投入がなければ出来ません。土地の販売価格を大幅に値引きする、オープンスペースの整備を公共事業で行う、植栽について大幅な補助金を出すなどです。今回の緊急融資は地価の下落を理由に挙げていますが、開発業者に市の条件で開発してもらえるように作為的に値下げするとしか考えられません。失敗の穴埋めに公費を投入することに市民が理解を示すでしょうか。
 また昨日の市長定例記者会見では、人工島の土地を証券化することも検討しているとのことですが、まさに人工島計画の破綻を示しています。銀行に頼らないといっていますが、銀行さえも融資をしないといった方が正しく、証券化はさらに公費投入をすることになります。証券化しても、証券が売れるためには投資家が期待する利益を上げることが期待できる価格になり、証券価格は低く設定することになります。証券販売による資金調達額は決して多くはなく、結果的には公費投入がなされことになります。証券化しても市民の負担が増えることには変わりがありません。破綻処理のかたちが変わるだけです。
 さらに深刻な問題は、12ヘクタールの土地を買わされた福岡市住宅供給公社です。住宅供給公社は既に1平方メートルあたり113,900円で購入しており、市の見込み通りの土地処分価格となれば、50億円から60億円の損失を生じることになります。住宅供給公社は、平成14年度決算で特定準備金は35億円しかありません。住宅供給公社はレークヒルズ野多目などの分譲事業の失敗を、この準備金の取り崩しでカバーしてきました。市住宅供給公社は、今回人工島の住宅事業で50億円から60億円の損失を出せば、一度に破綻することになります。この責任は一体誰がとるのでしょうか。
 福岡市の財政は極めて厳しい状況になっています。市債発行残高は2兆6千億円、起債制限比率16.8%、財政調整に使える基金も平成4年度942億円をピークに減り続け平成14年度は216億円とピーク時の4分の1に減っています。市税収は伸びないばかりか減少し始めています。国も行成や負担金を減らす動きとなっている中で、限られた財源をどこに使うのか、政策の重点をどこに置くのかが問われています。 破綻が明らかな人工島に際限なく税金をつぎ込むことはやめなければなりません。市民が安心して暮らせるまちづくりにお金は使われなければなりません。
 いま、博多港開発は第2工区の埋立免許継続を準備しています。公有水面埋立法では、埋立免許継続の要件に、事業継続能力を証するものとして事業者の信用と資金調達力が求められています。しかし、福岡市が公費を投入しなければ事業が進まない現状は、明らかに法に定める要件を満たしているとは言えません。銀行でさえ融資をしない、人工島の破綻は明らかです。福岡市は博多港開発に対する埋立免許継続を認てはいけません。40億円の緊急融資や証券化などはやめ、博多港開発の事業を中止させるべきです。これ以上、税金を無駄遣いすることをやめるよう求めます。
 最後に、今回の埋立免許の申請者と許可権者はともに山崎市長であり、全くチェックが出来ないものです。第三者によるチェックがなされない限り、市の暴走をとめることは出来ません。制度の改革を求めるものです。
 よって、以下の要請をします。

1,博多港開発(株)に対する40億円の緊急融資や証券化をやめ、人工島埋立事業にこ れ以上の公費(税金)投入をやめること。
2,博多港開発(株)の埋立免許継続を認めないこと。
3,人工島計画は中止し、市民も含めた第三者機関を設置して抜本的に見直すこと。