疑惑がふくらむ桧原葬祭場全面建て替え

Pocket

桧原葬祭場学習会と市の説明会
日時 2004年1月10日(土)
場所 桧原会館

 桧原葬祭場を全面建て替えに反対する市民の学習会に参加した。
 今回の葬祭場の建て替えは、多くの疑問があり、それに答えないままに強行しようとしている。巨大な公共事業に税金の無駄遣いをしようとしている。誰が儲かるのか、福岡市の体質がまた問われている。住民は1万もの署名を集め議会に請願しているが、いまの議会がどう答えることができるのか、皆さんは注目して頂きたい。
 この日の説明会では、市の説明は問題が多すぎ、住民・市民の質問に答えてなく、さらなる説明会開催と14日開催予定の公聴会中止を求めた。

問題その1:対策委員会は何ものなのか、また住民を代表しているのか?
 そもそも葬祭場は建設時に20年後には移転することを条件に地元対策委員会と確認書を交わしていた。平成8年に福岡市は移転ではなく、建て替えについて対策委員会と協議を行い合意を得たことで住民の合意を得たとしている。いま問題になっているのは、一つに対策委員会の存在を知らない住民が多いことである。対策委員会も住民に説明をしないままに交渉していることに問題がある。福岡市が近隣住民としている葬祭場から100メートル以内の住民は520戸ほどありるがど対策委員会について知らない人が多いという。しかも住民は情報公開で請求した対策委員会と福岡市との交渉経過に付いても、黒塗りが多い会議録しか出さない、対策委員会の氏名も明らかにしないなど、市の対応は不明朗なことが多い。今回の説明会にも対策委員会のメンバーは出てきていない。対策委員会が本当に地域住民を代表しているのか、全く疑問である。
 さらに、対策委員会が建て替えを容認した条件は周辺道路の整備や神社の改修など住民の生活環境への影響に関して全く関係ないことばかりである。加えて周辺の賃地の購入を要求しており、福岡市は12億円で購入している。その地権者に対策委員もおり、住民感情として納得がいかないものがある。旧住民のいわゆる地域ボスによる取引といわれても仕方がない。また、福岡市は上手にこれを利用している。これが福岡市の実態である。

問題その2:建て替えの経緯が住民に説明されていない
 福岡市は対策委員会と協議をしてきたので、住民の同意は得ていると言い続けている。然し、対策委員会は住民に対する説明をしていない上、福岡市は、これまで3度しか住民の説明をしていない。その説明会の案内の仕方もずさんだという指摘もある。もちろん市政だよりにも掲載されていない。多くの市民は知らないし、近隣住民さえ知らない人が多い。計画段階から住民に対して丁寧にな説明がなされべきでるにもかかわらず、対策委員会との交渉をもって住民の合意を得たとする市の姿勢は厳しく批判されねばならない。加えて、総額70億円もの税金が使われるこの事業について市民に一切知らせようとしない市の姿勢は、本質的に問題がある。

問題その3:全面建て替えの理由がない
 そもそも全面建て替えが必要なのか、疑問が多すぎる。公益という名で、その陰に巨大公共事業に群がる政官業の癒着構造が見えてくる。

1,老朽化といっているが、23年しかたっていなく、補修すれば充分使える。
 福岡市は施設の老朽化を建て替えの理由としている。然し、23年しか経っていない建物は補修すればよく、これまでのメンテナンスに問題がある。同じ時期に建てられた県庁や日銀福岡支店を見るとよくわかる。炉の耐用年数が15、6年ということだが、設計当初からわかっていていたことであり、炉だけを改築すればよい。部分改修であれば37億円と予定価格の半分ですむ。23年しか経たない待合い室などを解体することは、無用の廃棄物を作り出す上、市民に大きな財政負担をさせることになる。

2,過大な需要予測をして、全面建て替えをしようとしている。
 福岡市は需要がひっぱきしているといっているが、予約制にすれば解決できる。全国的には予約制が主流である。また、現在の利用状況は7000弱である。21炉で、340日稼働しているとすると年間1炉につき1日1体である。福岡市の将来予測である13000と見ても、1日2回で間に合う。福岡市は人口が増え続けるとして将来26基、さらに8基の炉を建設としてるが、この予測そのもの過剰である。利用数は現状では年間200体しか増えていないにもかかわらず、予測では800としている。実態とかけ離れた予測でつじつまを合わしている。

3,ダイオキシン対策にバグフィルター設置が出来ないことを理由にしているが改造でき る
 福岡市は厚生省(厚生労働省)の通達で、ダイオキシン対策にバグフィルターを設置しなければならいが、現状では改造できないといっている。然し、環境影響評価では、建て替えてバグフィルターをつけてもあまり改善されないとしている。問題は一緒に焼却する遺品を規制すべきであり、厚生労働省もそのように指導しているし、また実施している自治体もある。また、バッグフィルター設置は新築した場合の指導であり、現状の設置を求めているわけではない。仮に現状で設置するとしても、1区画3炉の炉を1区画2炉にすれば設置が出来るという指摘がある。いずれにしても、ダイオキシン対策は理由にならない。

4,そもそもリファイン(部分改造)を入札要件に入れてなっかった。
 当初議会にも住民にもリファインも入札の要件にすると説明してきた。然し、実際の入札要綱には全面建て替えの条件しか示されておらず、リファインについて全くふれていない。リファインの提案も排除していたわけではないといっているが、当然すべての入札業者は全面建て替えしかしか提案しないのは当然である。はじめから全面立てかを画策していたことは明らかであり、議会にも市民にもウソを言い続けている。

5,競争入札できたにもかかわらず、随意契約をした。
 福岡市は当初5企業体が入札したが、2企業体は福岡市の計画に合致しなかったので除いた。3企業体で競争入札をしたが、2企業多賀指名停止を受けるのど下ので、残った企業体と随意契約したと説明している。さらに予定価格63億円であるものを53億円89.9%であるので妥当だと説明している。
 地方自治法では、随意契約する場合は緊急事態で急ぐ、価格が極めて安い、その企業しかできないなど極めて厳しい条件を課している。100%出資の第三セクターでもあり、自治法を遵守すると市長はいっているが、全く遵守していない。89.9%の落札率では随意契約する理由にはならない。福岡市は落札率70%まで認めている。
 また、競争入札をやりなすことも可能であったにもかかわらず、残った企業体の提案が他の企業体に使われるおそれがあるなどといって随意契約を正当化している。市民の立場からすれば、こんなことが理由として認められるはずがない。負担するのは市民である。いずれにしても入札業者も予定されていたのではないかと疑われる。

問題その4:形式的な説明会および公聴会
 福岡市は10月26日に近隣住民の説明会をし、12月1日に建築確認の申請をした。住民は近隣性つめ猪飼でも反対の声が強いにもかかわらず、建築申請したことを起こっている。しかも申請者は市長であり、許可賢者も市長という極めておかしな構造となっている。福岡市はくらしの環境財団(福岡市出資100%の第三セクター)に建設させ、完成後20年の分割購入する計画になっている。市はくらしの環境財団が銀行からの借り入れに際し、損失補償をしている。このことを理由に施工主を福岡市長としている。 
 この地域は第一種住居地域であるため、3000平米以上の建物は建てられない。今回の全面建て替えは、第一期は9400平米、第二期は3000平米に新築となっているため、特例措置として市長の許可を得なければならない。そのため、通常の建築確認では事前説明だけでよいものが、今回は公聴会開催が求められる。
 1月14日には公聴会が開かれ、28日には建築審査会が開催される。この公聴会についても近隣住民に対して周知がいい加減に行われており(出席者の調べによれば、案内のチラシが他のチラシに紛れて配られており、知らないひとが多い)、市政だよりにも掲載されていない。広報にのみ掲載されており、一般市民は全く知らないといってよい。そもそも、巨額な税金でつくられるかつ全市民に関するにも変わらず、関係住民を葬祭場の100メートル以内の住居者と限定していることに問題がある。市民には一切知らせる意思がないことは明白である。山崎市長のいう「市民が主体の市民自治」とは一体何なのか。大嘘つきといわれても仕方がない。
 住民は事前説明会でも反対の声が多きのにどうして建築申請をしたのか、そして、住民の説明もキチンとなされていないのにどうして公聴会を開くのか、さらに建築審査会の日程も既に決まっており、住民・市民の声とは関係なく形式的に手続きを進めている市のやり方が見えてくる。既に全面建て替えありきで、結論は決まっているのだ。人工島の進め方と全く同じである。これが山崎市長がいう住民自治の実態である。